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松元梓のいきもの天気図鑑
A.matsumoto Four Animal Weather Forecastin


コアラの暑さ対策
気温より低い木選び 体を密着 体温下げる 厳しい暑さが続いています。自然の中で暮らす動物は、この暑さをどうしのいでいるのでしょうか。 オーストラリアで暮らす「コアラ」は、一見分かりづらい方法で体温調節をします。「木に抱きつく」、これこそがコアラの暑さ対策です。 メルボルン大学などの研究によると、コアラは猛暑の際、気温よりも温度の低い木を選び、幹や太い枝に体を密着させて体温を下げるそうです。体の熱を木に逃すことで、何もしないときに比べて水分の消費を半分ほどに抑えられ、脱水症状になるのを防ぐことができるようです。 さらに興味深いのが木の選び方です。猛暑の日には、好物のユーカリではなく、より温度の低いアカシアの木を選ぶのだとか。ユーカリが気温より2度弱しか低くないのに対し、アカシアの木は約5度も低くなることがあるためです。 ちなみに「コアラ」の名は、先住民の「水を飲まない」という言葉から来ています。ユーカリに含まれる水分だけで生きられるよう進化してきたコアラですが、彼らですら異常な暑さの時には他の木を選んで必死に命を守っているのです。...


ニホンジカと土砂災害
食べ尽くし根失われ 被害大きくする原因 滋賀県と岐阜県の境にある伊吹山で、2023年と24年に想定外の土砂災害が起きました。 きっかけとなった雨は1時間に30ミリ前後。単純な降水量からすると、土砂災害を引き起こすほどの雨ではありません。それなのに2年続けて登山道が崩れたり、土石流が発生したりしました。 被害を大きくした原因はニホンジカです。シカが山の植物を食べ尽くすことで根が失われ、土が崩れやすくなってしまったのです。温暖化で冬を越しやすくなったこともあり、ニホンジカの数は爆発的に増えていて、環境省によると、その生息域は約40年間で2・7倍に拡大。食害による土砂災害は各地で報告されています。 長野県でも南アルプスや北アルプスの高山帯ですらシカの目撃例が増えていて、私たちの身近な山も食害でもろくなっている可能性があります。 「従来の想定」が通用しない災害が増える中、気象庁は、私たちがより直感的に危険を察知できるよう、先月28日から防災気象情報の発表方法を大きく変えました。 大雨に関する注意報・警報は「大雨」「土砂災害」「氾濫」に整理され


暑さに強いラクダ
体温調整や水分摂取…体の構造に三つの理由 この夏も過去3年に続き、記録的な猛暑が予想されています。このまま気温が上がり続けたら私たちは暮らしていけるのでしょうか。 過酷な暑さの中でも涼しい顔に見える動物がいます。砂漠で暮らす「ラクダ」です。暑さに強いのには次のような理由があります。 (1)体温の変化 ラクダは体温を大きく変化させられるといわれています。暑い時間帯はあえて体温を上げて外気温との温度差を小さくし、汗をかきにくくして体の水分を逃がさないようにしています。 (2)大量の水分摂取 一度に100リットル以上の水を飲むといわれるラクダ。通常、水分が足りなくなると血液はドロドロになりますが、大量の水を血液に取り込むことでサラサラな状態を保っています。 (3)背中のコブ コブには脂肪が蓄えられています。脂肪は熱を通しにくく、コブの脂肪で直射日光を受け止め、体全体が熱くなるのを防いでいます。 ラクダは暑さを避けているのではなく、暑さの中でも生きられる体になっているのです。 ところで気象庁は4月、最高気温が40度以上の日を「酷暑日」


ツバメの「初見」
長野 4月上旬に到達 韓国では飛来遅れる この時期、つい空を見上げてしまうことがあります。ツバメを探すためです。 日本で見られるツバメは、主にインドネシアやフィリピンなどの東南アジアから、春になると海を渡ってやってきます。気象庁の記録によれば、ツバメの「初見」は3月上旬に九州南部から始まり、長野には4月上旬に到達します。 一方、隣の韓国では、ツバメをめぐる異変が報告されています。1923年の観測開始当初は3月ごろに飛来していましたが、5月から6月にならないと姿を見せない年が増えてきているそうです。100年あまりで、1カ月以上も遅れたことになります。 温暖化が進めば早く飛来しそうなものですが、ツバメが気温や季節の変化に鈍感になり、移動のタイミングを計りにくくなってきているようです。さらに、韓国の都市部では、ツバメをなかなか見られなくなってきており、巣を掛ける軒先が減ったことがその一因と考えられています。 こうした季節感の揺らぎを裏付けるように、日本ではこの夏も猛暑が予想されています。長野県の最高気温は2020年8月に飯田市南信濃で観測さ


県獣・カモシカ
冬に生えてくる「下毛」 死因で多いのが「雪崩」 野生の知恵を通して天気や防災を考える「生きもの天気図鑑」。今回は長野県の県獣「カモシカ」が主役です。 山岳地帯に生息しているカモシカは、国の特別天然記念物に指定されていて、名前に「シカ」とついていますが、実は牛の仲間です。寒さに強く、その理由が、冬になると生えてくる白く柔らかいモコモコの「下毛」です。この毛は体に密着しているため非常に温かく、カモシカは氷点下の雪山でもじっと耐えて過ごすことができます。 カモシカが冬を乗り切る上で、寒さ以上に恐ろしいものがあります。それが「雪崩」です。少し古い資料になりますが、北陸地方の白山山系に暮らすカモシカの死因を調べたところ、冬から春にかけて最も多かったのが雪崩だったそうです。大雪の後には、雪崩に巻き込まれて川に流されたカモシカの亡きがらが見つかることも多いそうです。 明日から気象の世界では「春」になりますが、私たち人間もまだしばらく雪崩に注意が必要です。 雪崩の多くは、積雪の表面近くにある新しく積もった層だけが崩れる「表層雪崩」です。主に冬に発生し


雪の妖精・シマエナガ
寒い日には着膨れした ころんとした丸い姿に 北海道に生息する小鳥「シマエナガ」をご存じですか。体長は約14センチ、体重はわずか7グラムほどの国内でも最小級の野鳥で、北海道にのみ生息しています。冬になると白い羽毛に覆われることから、「雪の妖精」と呼ばれています。 ただでさえ愛らしいシマエナガですが、寒い日には着膨れしたようなころんとした丸い姿になることがあります。羽毛の間に空気をたっぷりと含ませて体を膨らませ、その空気の層で体温が逃げるのを防いでいるのです。 スズメも同じように冬にふっくらとした姿になることがあり、「ふくらすずめ」と呼ばれ、冬の季語になっています。 さらに、寒さが一段と厳しい夜になると、鳥たちは枝などに集まって身を寄せ合い、互いの体温で寒さをしのぎます。小さな生き物が厳しい冬を乗り切るための知恵です。冬らしい冬となっている今シーズン、彼らも寒さに耐えながら、けなげに生きていることでしょう。 一方、人間は雪や寒さに備えるために、事前に情報を集めることができます。その助けとなるのが、日々の天気予報です。 テレビで初めて天気


冬を乗り切るライチョウの知恵
あまり飛ばずに歩く 休む時は雪の中へ 今年から「気象予報ムシ」は、「いきもの天気図鑑」として新たなスタートを切ります。「いきものの暮らしから天気を学ぶ」というテーマはそのままに、虫だけでなく、さまざまないきものをご紹介していきます。 初回の主役は、長野県の県鳥「ライチョウ」です。 北アルプスなどの高山に暮らすライチョウは、冬が近づくと、別の鳥と言ってもいいほどの衣替えをします。夏は岩や草に似た茶色のまだら模様ですが、雪の季節になると、純白の羽毛に変化します。これは、景色に溶け込んで、キツネやタカなどの天敵から身を守るためです。 寒さを乗り切る知恵も見事です。冬は、エネルギーを節約するため、あまり飛ばずに歩いて移動します。足先まで覆う羽毛は「天然のスノーシュー」となり、雪の上を沈まずに歩ける上、断熱材として体温をしっかりキープしてくれます。休む時は雪の中に潜り、外気の冷たさから身を守ります。雪の中は意外なほど暖かい安息の場なのです。 しかし、そんなライチョウも、いま絶滅の危機にあります。大きな理由の一つが「地球温暖化」です。雪の減少や植生
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