冬を乗り切るライチョウの知恵
- 2025年12月31日
- 読了時間: 2分
あまり飛ばずに歩く 休む時は雪の中へ

今年から「気象予報ムシ」は、「いきもの天気図鑑」として新たなスタートを切ります。「いきものの暮らしから天気を学ぶ」というテーマはそのままに、虫だけでなく、さまざまないきものをご紹介していきます。
初回の主役は、長野県の県鳥「ライチョウ」です。
北アルプスなどの高山に暮らすライチョウは、冬が近づくと、別の鳥と言ってもいいほどの衣替えをします。夏は岩や草に似た茶色のまだら模様ですが、雪の季節になると、純白の羽毛に変化します。これは、景色に溶け込んで、キツネやタカなどの天敵から身を守るためです。
寒さを乗り切る知恵も見事です。冬は、エネルギーを節約するため、あまり飛ばずに歩いて移動します。足先まで覆う羽毛は「天然のスノーシュー」となり、雪の上を沈まずに歩ける上、断熱材として体温をしっかりキープしてくれます。休む時は雪の中に潜り、外気の冷たさから身を守ります。雪の中は意外なほど暖かい安息の場なのです。
しかし、そんなライチョウも、いま絶滅の危機にあります。大きな理由の一つが「地球温暖化」です。雪の減少や植生の変化によって、生息環境が脅かされているのです。
「温暖化=雪が減る」というイメージが強いですが、実はもっと複雑です。
気象庁によると、日本では長期的に雪の量は減ってきていますが、雪の多い地域では「ドカ雪」の頻度が高まる可能性があるとされています。気温が上がると、大気中に含むことのできる水蒸気の量が多くなり、雪雲が発達しやすくなります。結果、局地的な大雪のリスクはむしろ高まっているのです。
冬を安全に過ごすためにも、「今どれくらいの雪が降っていて、これからどうなるか」を知ることが欠かせません。気象庁ホームページの「今後の雪」では、現在の積雪や6時間先までの降雪量の予測を地図で確認できます。大雪の恐れがある時は、警報や注意報が出ているかどうかも確認してください。
厳しい冬をたくましく生き抜くライチョウのように、私たちも気象情報を味方につけ、安全に冬を過ごしたいものです。
(気象予報士・防災士)
2026年1月1日号掲載
