県獣・カモシカ
- 2月28日
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冬に生えてくる「下毛」 死因で多いのが「雪崩」

野生の知恵を通して天気や防災を考える「生きもの天気図鑑」。今回は長野県の県獣「カモシカ」が主役です。
山岳地帯に生息しているカモシカは、国の特別天然記念物に指定されていて、名前に「シカ」とついていますが、実は牛の仲間です。寒さに強く、その理由が、冬になると生えてくる白く柔らかいモコモコの「下毛」です。この毛は体に密着しているため非常に温かく、カモシカは氷点下の雪山でもじっと耐えて過ごすことができます。
カモシカが冬を乗り切る上で、寒さ以上に恐ろしいものがあります。それが「雪崩」です。少し古い資料になりますが、北陸地方の白山山系に暮らすカモシカの死因を調べたところ、冬から春にかけて最も多かったのが雪崩だったそうです。大雪の後には、雪崩に巻き込まれて川に流されたカモシカの亡きがらが見つかることも多いそうです。
明日から気象の世界では「春」になりますが、私たち人間もまだしばらく雪崩に注意が必要です。
雪崩の多くは、積雪の表面近くにある新しく積もった層だけが崩れる「表層雪崩」です。主に冬に発生し、新幹線にも匹敵する速さで斜面を一気に崩れ落ちるのが特徴です。
一方、雪の層全体が崩れ落ちる「全層雪崩」は、春先に気温が上がった時や、雨の日に発生しやすく、これからの時期は特に注意が必要です。表層雪崩に比べて発生数は少ないものの、規模や被害が大きくなりやすいのが特徴です。気象台から「なだれ注意報」が発表されている時には、斜面に近寄らないようにしましょう。
自然の猛威を前にすれば、野生動物も人間も、小さくか弱い存在に過ぎません。雪山に出かける際は、特に気象情報に注意を払い、万全な装備で臨むようにしてください。
(気象予報士・防災士)
2026年2月28日号掲載


