旅の終わりのたからもの
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=1時間52分
長野ロキシー(☎︎232・3016)で2月6日(金)から公開

(C)2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS
父の祖国旅する父娘 手に入れたものとは
ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を生き延びた父と、ニューヨークで生まれ育った娘。「旅の終わりのたからもの」は、そんな父と娘が父の祖国ポーランドを訪れ、家族の歴史をたどるロードムービーだ。
1990年代初頭、ルーシー(レナ・ダナム)はニューヨークでジャーナリストとして成功するが、どこか満たされない気持ちを抱え、自身のユダヤ人としてのアイデンティティーを求めてポーランドへ父親エデク(スティーブン・フライ)と旅に出る。しかし、案内役を務めるはずのエデクの身勝手な行動に振り回され、旅のスケジュールは変更ばかり。
ようやくかつて一家が暮らしていた家を探しあてるが、戦後の混乱で別の家族が暮らしていた。はじめはアウシュビッツ強制収容所に行くことさえ渋っていたエデクだが、意を決し悲惨な過去と向き合ってゆく。
1990年代初頭というと、ポーランドは民主国家の礎を築いていた時代。外国との往来が自由になり、他国に避難していたユダヤ人が家族が遺したものを探ろうとポーランドを訪れた。
祖先の歴史を知ろうと書物を読みあさっていたルーシーだが、ポーランドの現実を目にし、父親が語る体験を通して自身のルーツへの洞察を深めていく。
ナチス・ドイツの歴史が現代にどう影響を与えているかを探求するフォン・ハインツ監督の3部作の第3作にあたる。父娘が遭遇する負の遺産はシリアスだが、原作の持つ独特のユーモアとキャラクターが物語に明るさを醸し出す。
多くのユダヤ人の命を奪ったアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で実際にロケが行われている。敷地を埋め尽くすバラックや塀。映し出された全景のあまりの広大さに息をのむ。押し込められ命を奪われた人々。今は世界遺産として負の歴史を静かに伝えている。
社交家で誰ともすぐ親しくなる父エデクが時折見せる不安な表情。そしてようやく父の痛みに気づいたルーシー。すれ違いばかりの旅の終わりに、父娘が手に入れた「たからもの」にジーンと胸が熱くなる。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年1月24日号掲載



