レンタル・ファミリー
- 2月28日
- 読了時間: 2分
=1時間50分
長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
雇われ外国人俳優が 演じる疑似家族の姿
レンタル家族は、依頼者の要望に合わせて疑似家族を演じる代行ビジネス。日本で約300社が活動しているという。「レンタル・ファミリー」は、日本で活動する米国人俳優がレンタルファミリー会社に雇われ、さまざまな家族の役割を演じる姿を通して人生の心の機微を描いたヒューマンドラマだ。
フィリップ(ブレンダン・フレイザー)は東京で暮らす米国人俳優。役者としての全盛期を過ぎ、仕事が減り困っていた。ある日、葬儀に参列する仕事を依頼されたのをきっかけに、レンタルファミリー会社の経営者、多田(平岳大)にスカウトされる。ただし演技するのは舞台やスクリーンではなく、親や友人、配偶者など普通の家族の一員に扮(ふん)すること。フィリップは戸惑い、うそはつきたくないと辞退したが考え直し働き始める。
東京から旅先の島原や天草など日本オールロケ作品。慣れ親しんだ日常の風景に物語が溶け込んでゆく。
フィリップが扮するのは、日本人女性と結婚式を挙げる外国人花婿、シングルマザーからの依頼は娘の受験の面接のために外国から戻ってきた父親役、かつての大物俳優にインタビューする外人記者役など、さまざまだ。架空でありながら、家族に欠けたピースとして相手と心を通わせてゆくうちに、彼自身も人生と向き合い見つめ直してゆく。
ブレンダン・フレイザーは、「ザ・ホエール」(2022年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したベテラン俳優。「ハムナプトラ」シリーズなどこれまでのアクション映画やコメディー映画とは異なる姿と演技に驚かされたが、巨体を縮めて相手に寄り添うような優しさと繊細な演技は本作でも健在だ。
レンタルファミリー・ビジネスに着目し、脚本と監督を手掛けたのは米国を拠点にする日本人女性監督のHIKARI。大阪出身で米国留学の際に、自身が経験した疎外感と漂流感も反映されているという。
人間がそれぞれ抱える孤独が家族という存在で癒やされ、いつしか優しさに満たされてゆく。そんな余韻がいとおしい。
(日本映画ペンクラブ員、ライター)
2026年2月28日号掲載



