ブゴニア
- 2月14日
- 読了時間: 2分
=1時間58分
長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中

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陰謀論者の誇大妄想 何が嘘で何が真実か
SF心理サスペンス映画「ブゴニア」は、ゴールデングローブ賞で3部門ノミネート、アカデミー賞では作品賞、主演女優賞など4部門にノミネートされた話題作だ。
カリスマ経営者として有名な製薬会社の女性社長ミシェル(エマ・ストーン)が男2人組に誘拐された。犯人のテディ(ジェシー・プレモンス)は陰謀論者で、ミシェルが地球を征服に来た宇宙人だと信じている。気弱な従弟のドンに見張りをさせ、ミシェルを自宅の地下室に監禁し、正体を暴こうと拷問する。
荒唐無稽なストーリーとも言えるが、現代社会には宇宙人の存在を信じる人や、陰謀説など誇大妄想にとらわれた人々がいる。人類の抵抗軍を自認するテディは、飼っている蜜蜂たちの微妙な変化に地球の環境破壊を嘆く。彼が口にするさまざまな証拠は、私たちも見聞きしている出来事だけに次第に共感してしまうのが怖い。
そんなテディに立ち向かうミシェルも生半可ではない。筋トレに護身術、美容にと日々鍛錬した身体だけでなく、心理学の学位を持つ頭脳明晰な女性だ。アンドロメダ星人と決めつける狂信的なテディを言いくるめようとする交渉能力の高さと瞬時に立場を理解する適応力。パワーを秘めたヒロイン役のエマ・ストーンとテディ役のジェシー・プレモンスの怪演対決に目を見張る。
2003年の韓国映画「地球を守れ」のリメークで、ダークなユーモアに満ちた脚本を再構築。アカデミー賞作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」の製作陣が加わり、米国、韓国、イギリス、カナダなどの合作というユニークな布陣だ。
「哀れなるものたち」(2023年)でアカデミー賞を受賞したヨルゴス・ランティモス監督が作品に込められたテーマに現代社会への警告を込める。
何が嘘で何が真実か。密閉された空間で展開する巧妙なストーリーに徐々にむしばまれていくような奇妙な感覚に陥る。予測不能なラストに驚愕せずにいられない。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年2月14日号掲載



