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増加するクマゼミ

  • 8月30日
  • 読了時間: 2分

孵化の時期が早まり 生き延びる確率アップ

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 東京などの都市部では、以前は夏の主役といえばアブラゼミでしたが、最近はクマゼミの「シャワシャワ」という鳴き声が増えているようです。


 理由の一つが、気温の上昇により、クマゼミの孵化(ふか)のタイミングが早まっていることで、かつては8月ごろだったのが、今は7月中旬ごろになっているようです。


 その時期はちょうど梅雨の終わりと重なります。セミの幼虫は卵から孵化して1時間以内に地面に潜らないと生き延びることができません。8月の地面は乾燥して固くなりがちですが、梅雨時期の地面は雨によって軟らかく、幼虫にとって土の中に潜りやすくなります。その結果、幼虫が無事に生き延びる確率が高くなり、クマゼミの数が増えているのです。


 この100年間で、日本の年平均気温は約1・4度も上昇しました。都市部ではさらに上昇幅が大きく、気象庁によると東京は3・4度、大阪は2・7度、名古屋は3・1度と全国平均の約2倍以上になっています。都市部の気温が上がっていることを「ヒートアイランド現象」と言います。車やエアコンからの排熱、アスファルトやビルに蓄えられる熱、そして緑の少なさが気温を押し上げています。


 長野も大都市ほどではありませんが、今年は先月20日から今月5日まで17日連続で35度以上の猛暑日が続きました。こうした暑さの背景にも、都市化と温暖化が関係しているように思います。


 温暖化は止まりません。昔過ごした夏は、もう二度と味わえないかもしれません。一人一人が温暖化を「自分のこと」として考え、できる対策から少しずつ始めていくことが大切だと強く思います。


(気象予報士・防災士)



2025年8月30日号掲載

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