にぎやかな秋の虫の声
- 28 分前
- 読了時間: 2分
雄から雌への「求愛」 土の中に産卵し越冬

秋も深まり、朝晩はひんやりとするようになりました。虫たちの声もだいぶ落ち着いてきたように感じます。
スズムシやコオロギ、マツムシ…。どの虫も鳴くのは「オス」のみです。
メスへの「求愛」のため、翅(はね)を擦り合わせて音を出し、存在をアピールします。この時期に必死に鳴くのは、寒くなる前に子孫を残すためです。
土の中に産みつけられた卵は、そこで冬を越します。地上の気温が氷点下になる真冬でも、土の中はプラスの温度を保つため、卵が凍りつくのを防いでくれるのです。小さな虫たちも次の命へつなぐための知恵をもっているのですね。
虫の声に話を戻すと、その音を「秋の風情」として心に留めるのは、日本人特有の感性なんだそうです。外国人が虫の音を「雑音」と認識することが多いのに対し、日本人は「声」として言葉のように聞き分けているようです。
こうした感性は雨の音に対しても見られます。雨の降り方を表現するオノマトペは、英語で1000から1500語、フランス語では600語程度なのに対し、日本語では4500語もあるといわれています。
弱い雨なら「ポツポツ」「パラパラ」「ショボショボ」「シトシト」、強い雨なら「ザーザー」「ドシャドシャ」「ビチャビチャ」など、雨粒の大きさや不快感の程度、降り始めなのか長く続いているかまで表現できます。
このオノマトペには、子音が「P」や「S」で始まるのは弱い雨、濁音が入っているのは強い雨という、規則性も存在します。
最近は温暖化に伴い「ザーザー」や「ドシャドシャ」といった濁音の雨が増えています。気象庁のホームページにある「キキクル」なども活用しながら、自分の身を自分で守る意識を、日頃から持っていてほしいと思います。
(気象予報士・防災士)
2025年10月25日号掲載



