ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家
- 11月8日
- 読了時間: 2分
=1時間49分
長野ロキシー(☎︎232・3016)で11月14日(金)から公開

(C)-MACT PRODUCTIONS-LE SOUS-MARIN PRODUCTIONS-INA-PANTHEON FILM-2024
多量の記録映像と 懐かしい作品の数々
フランスを代表する映画音楽の巨匠ミシェル・ルグラン。「ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家」は、クラシックにジャズを組み合わせるという独自のスタイルで活躍した75年のルグランの生涯を追ったドキュメンタリー映画。
1932年にパリで生まれたルグランは、わずか11歳でパリ国立高等音楽院に入学。20歳で卒業後は映画音楽の世界に飛び込み、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・ルルーシュら名だたる監督の映画音楽を手掛けた。なかでも世界に衝撃を与えたのはジャック・ドゥミ監督の「シェルブールの雨傘」(1964年)。せりふをすべて歌うという大胆で斬新なアイデアはルグランの提案によるものだという。フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーブが歌い踊る「ロシュホールの恋人たち」(67年)でミュージカル映画の新しいスタイルをつくり上げた。
米国ハリウッド映画にも進出し、「華麗なる賭け」(68年)の主題歌「風のささやき」や「愛のイェントル」(83年)などで米アカデミー賞を3回受賞している。2019年1月26日に亡くなるまで、200本以上の映画に楽曲を提供している。
この映画の見どころの一つが、多量の記録映像とともに映し出される懐かしい作品の数々。映画監督や歌手、音楽家、そして家族や友人たちのインタビューから見えてくる一人の芸術家の素顔と生きざまに圧倒される。
晩年の活動に密着したデビッド・ヘルツォーク・デシテス監督がフィルムに捉えたのは オーケストラ用の作曲に打ち込む姿。老いてなお創作意欲を失わずフィルハーモニー・ド・パリでタクトを振るエネルギッシュなルグランはまさに生涯現役だった。知られざるエピソードの数々に、あらためてルグランの才能のすごさに感服させられる。
映画の歴史に偉大な足跡を残したルグラン。
映像を見ただけでメロディーが浮かび、音楽を聴いただけでシーンがよみがえる。まさに映像と音楽の至福の関係がここにある。映画ファンには見逃せない一本だ。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2025年11月8日号掲載



