てっぺんの向こうにあなたがいる
- 10月25日
- 読了時間: 2分
=2時間10分
長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で 10月31日(金)から公開

(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会
田部井淳子がモデル 勇気と希望の物語
「てっぺんの向こうにあなたがいる」は1975年、35歳で世界最高峰のエベレストに女性で世界初登頂に成功した田部井淳子をモデルにした実話の映画化だ。
偉業を成し遂げ、世界から一躍脚光を浴びた登山家多部純子(吉永小百合)。結婚し妻となり2人の子どもの母となっても、登山家としての挑戦をやめない純子の姿は多くの女性たちに影響を与えていった。
晩年はがんで余命宣告を受けながらも山への情熱を失わず、いつもと変わらない日々を送る。そんな彼女の人生を支えるのは夫の正明(佐藤浩市)と、取材をきっかけに盟友にして相棒となった新聞記者の北川悦子(天海祐希)だ。
パイオニアとしての輝かしい栄光と引き換えに失ったものもある。世界の山々に挑戦し続けた彼女がてっぺんから見た景色とは…。
原作は田部井のエッセー「人生、山あり“時々”谷あり」。田部井は2016年に77歳で亡くなるまで、7大陸最高峰を制覇。女性初という「称号」とともに偉業を成し遂げた。ネパール王国から最高勲章を授与されたほか、日本スポーツ大賞、文部省スポーツ功労賞など数多く受賞している。
田部井はエッセーのタイトルのような、「時々」では決してなかったさまざまな困難を乗り越えた。その高みを目指す飽くなき情熱は、女優人生を歩み続ける吉永小百合の姿と重なるようだ。ラジオ番組のゲストとして出会った田部井の前向きな生き方に魅力を感じたと語る吉永は、撮影に備えて田部井が初めて登ったという栃木県の茶臼岳などゆかりの地を訪れたという。明るくユーモラスな雰囲気がよく似ている、のんが若き日の純子を演じている。
吉永の124本目の出演作品のメガホンをとるのは「北のカナリアたち」(2012年)以来、13年ぶりにタッグを組む阪本順治監督。実写にこだわり、撮影は富士山をはじめ日本各地で行われた。過酷な撮影からスクリーンに映し出される雄大な自然の美しさと厳しさは、人生そのもの。いくつになっても「てっぺん」を目指し、一歩一歩、歩み続ける勇気と希望の物語だ。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2025年10月25日号掲載



