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ホタルの一生

  • 18 分前
  • 読了時間: 2分

幼虫は長い間水中に 「雨の降る夜」一斉に上陸

 一番好きな虫は何ですか。さまざまなアンケート調査で毎回と言っていいほど上位にランクインするのが「ホタル」です。


 今年もホタル前線は順調に北上していて、長野県に到達するのは、南部で5月下旬、長野市は6月中旬以降になりそうです。


 ホタルの一生は、「天気」と深く結びついています。


 前年の夏に卵の状態で生まれたホタルは、1カ月で幼虫になって水の中に入り、約9カ月もの長い間を水中で過ごします。そして、4月から5月にかけて幼虫が一斉に陸に上がるのですが、それは「雨の降る夜」と決まっています。


 その最も大きな理由は、これまで生活していた水中に近い環境を選んでいるからです。特に、一番最初に上陸する日は、霧雨のような弱い雨ではなく、本降りの雨の日でなければいけないようです。そして、その時が来るまで、幼虫は水の中でじっと待っているのです。


 陸に上がった後は、土の中でサナギ、成虫に変化し、地上に姿を現します。成虫として光を放つのは死ぬまでのわずか10日程度。はかない姿に美しさを感じるのかもしれませんね。


 さて、関東甲信地方の平年の梅雨入りは6月7日ごろで、例年1カ月半ほど梅雨が続きます。この間、雨の降り方は同じではなく、特に注意が必要な時期があります。「沖縄が梅雨明け」という言葉を聞いたら、一層気を引き締めてください。


 沖縄で梅雨が明けるのは、太平洋高気圧が強まって梅雨前線を北上させるからです。つまり、梅雨前線は本州付近にあって九州から東北北部が大雨シーズンに入ります。沖縄の平年の梅雨明けは6月21日ごろで、例年長野で最も雨が降るのも6月下旬から7月中旬までの1カ月間です。


 ホタルの季節は待ち遠しいですが、それは同時に雨の量が増える時期でもあります。自宅や学校、職場の近くに危険な場所がないかどうか、また避難する場合はどのルートで動けば良いのかなど、早めに確認しておいてください。

(気象予報士・防災士)


2025年5月31日号掲載

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