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ツーリストファミリー

  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

=2時間7分

長野ロキシー(☎︎232・3016)で2月6日(金)から公開

(C) Million Dollar Studios (C) MRP Entertainment.

インドに密入国の一家 楽しくも危険な日々

 「ツーリストファミリー」は、困窮生活の果てにスリランカから隣国インドに命懸けで密入国した一家が新天地で織りなす人情とユーモアあふれる交流を描いたヒューマンドラマ。低予算映画ながら2025年のインド映画界で異例のロングヒットを記録した話題作。


 闇夜に紛れてインドに密入国した4人の人影。父親のダースと母親のワサンティ、大学生のニドゥと小学生のムッリ兄弟の一家4人だ。上陸早々に取り締まり中の警察官に逮捕されてしまうが、お茶目なムッリの機転で警察官の同情を誘い解放される。ワサンティの兄の助けで新たな身分証を手に入れ、大都市チェンナイの片隅で暮らし始める。スリランカ人とばれないように近所付き合いは厳禁。隠れてひっそり暮らすはずが、思いがけずに地域の住民たちと交流が始まり、楽しくも危険がいっぱいの生活が始まった。


 方言で出身地が分かってしまうのは多言語国家インドならでは。イントネーションから単語まで些細(ささい)なことに突っ込まれ、いつばれるかヒヤヒヤ。だが小さな町の住人たちも抱えている問題はさまざまで、ダース一家が来たことでそれぞれの事情を知り、互いに無関心だった人々が心を開いてゆく。


 大都会ゆえに近隣住民と付き合いが薄いのは日本も同じ。移住先でコミュニケーションをいかにとればよいのか、素朴な一家の生き方にヒントがある。


 脚本も手掛けた新人監督のアビシャン・ジービントにとって長編デビュー作。さらに俳優としてもこの作品で酒浸りの青年役を演じている。インド映画お約束の歌や集団ダンスなどはやや抑えぎみながらも、エンターテインメントもしっかり楽しませてくれる。


 だがこんなにうまくいくのは映画だからと、お断りのテロップから物語が始まるのは当然かもしれない。「不法移民は容認も奨励もしない」と。近隣から逃れてくるのは経済だけでなく、宗教や戦争などさまざまな事情の難民だけに、現実のインドが抱える問題は簡単ではない。とはいえ何故この映画が多くの人々を引き付けたのか興味深い。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2026年1月31日号掲載

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