top of page

べートーヴェン捏造

  • 9月13日
  • 読了時間: 2分

=1時間55分

長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開中。

ree

(C)2025 Amazon Content Services LLC or its Affiliates and Shochiku Co., Ltd. All Rights Reserved.

偉大な天才音楽家像 秘書の捏造だった?

 「楽聖」とも呼ばれるベートーベン。現代に語り継がれる偉大な天才音楽家のイメージは秘書の捏造(ねつぞう)だった—。「べートーヴェン捏造」は、かげはら史帆著の歴史ノンフィクション「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは(嘘(うそ)をつく」を原作に、バカリズムが脚本を手掛けた実写映画だ。


 しがないバイオリン弾きのシンドラー(山田裕貴)は、敬愛するベートーベン(古田新太)に偶然出会い、運よく秘書に取り立てられた。その実態は想像と違い癇癪(かんしゃく)持ちの変人。耳のよく聞こえないベートーベンのためにいろいろ気を利かせ、天才作曲家のイメージ作りに励むが、その気まじめさを窮屈に感じ始めたベートーベンに首にされてしまう。ベートーベンの死後、何冊かの伝記が出版されるが、我こそが一番の理解者と信じるシンドラーは、出版の機会を虎視眈々(こしたんたん)と待ち続けついに出版。だがその内容を怪しんだ米国のジャーナリスト、セイヤー(染谷将太)がシンドラーを訪ねてくる。


 「運命の最初の出だしの音はドアをたたく音」という、よく知られているトリビア的なエピソードをはじめ、ベートーベンにまつわる話題は果たして本当なのか。シンドラーはいかにして真実をうそに塗り替えていったのか、謎が明かされてゆく。


 物語の舞台は外国なのだが、次々に登場する有名な音楽家や芸術家に扮(ふん)するのは日本の役者たち。シューベルト、ワーグナー、リスト、チェルニー、ハイネなど。中でもショパン役に3人組の人気ロックバンド、ミセス・グリーンアップルのメンバーで、長野市出身の藤沢涼架(りょうか)が映画初出演しているのも話題だ。


 小布施町出身の関和亮(かずあき)が「かくかくしかじか」に続いて監督を務めた。日本語のせりふだけに、会話に込められた、皮肉や笑いのニュアンスがストレートに伝わる。ベートーベンが生み出したクラシックの名曲をスクリーンで楽しめるのもうれしい。

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2025年9月13日号掲載

 © weekly-nagano  All rights reserved.

bottom of page