この本を盗む者は / 迷宮のしおり
- 2025年12月20日
- 読了時間: 2分
「この本を盗む者は」(1時間25分)は12月26日(金)から
「迷宮のしおり」(1時間55分)は1月1日(木)から
ともに長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で公開

(C)2025 深緑野分/KADOKAWA/「この本を盗む者は」製作委員会
伝説の呪い解くため 本泥棒捕まえる旅へ

(C)「迷宮のしおり」製作委員会
スマホの中の世界に 閉じ込められた少女
閉じ込められた世界から脱出するために必要なのは知恵と勇気—。今回紹介する2本のアニメ映画「この本を盗む者は」と「迷宮のしおり」は共に、閉じ込められた異空間から脱出しようと戦う少女たちの物語だ。
「この本を盗む者は」の原作は2021年本屋大賞にノミネートされた人気小説。主人公の御倉深冬(みくらみふゆ)は曽祖父が収集した巨大な書庫「御倉館」を管理する一家の娘。ある日、「御倉館」から門外不出の本が盗まれたことで伝説の呪いが発動し町全体が物語の世界に閉じ込められてしまう。読書も他人との関わりも嫌いな深冬だったが、伝説の呪いを解き、町を救うために本泥棒を捕まえる旅に出る。
呪いを解くためにしたのは本を読むこと。ファンタジー、SF、ハードボイルドなどジャンルはさまざま。映画を見終わったときには何冊もの本を読んだ充足感に包まれる。
「迷宮のしおり」の主人公栞は引っ込み思案で周囲の目を気にしてばかり。ある動画がきっかけでバズりまくり、スマホの中の世界に閉じ込められてしまう。現実世界にはもう一人の「SHIORI」が現れ、別人のように自由奔放にふるまう。彼女の狙いは本物となり替わることだった。
河森正治監督は「スマホは履歴や写真、個人情報が集積したもう一人の自分ではないかと感じたことから、この物語が生まれた」と、今や神器となったスマホと人間の関わりに言及する。
2人のヒロインは共に高校1年生。多感な年頃だ。精神世界が丁寧に描きこまれていることも見どころの一つ。脱出型映画のサスペンスに少女たちの揺れる心を繊細に描き、情感あふれるストーリーが融合されて作品の世界観に引き込まれてゆく。
躍動感と色彩あふれる日本のアニメーション映像のクオリティーの高さは、まるで観客自身がその場に居合わせているような臨場感をもたらす。音楽を手掛けるのは人気グループ「新しい学校のリーダーズ」。ライブシーンのエンターテインメントは見応え十分だ。
(日本ペンクラブ会員、ライター)
2025年12月20日号掲載



