162 奥裾花自然園
- 6 日前
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ミズバショウと新緑に浸る

5月の連休明けの土曜日、山仲間たちと鬼無里の奥裾花自然園を訪ねた。この時季に訪れたのは三十数年ぶり。目当てのミズバショウはやや遅く、数もだいぶ少なくなっていたが、白い清楚な姿とブナの新緑を楽しんだ。
8時過ぎに長野市内を出発、国道406号で鬼無里へ。白馬村へ向かう途中から右折し、奥裾花渓谷に入る。
奥裾花大橋を渡ると、両側の岩壁に露出した地層が目立つ。太古の時代に海底から隆起した跡で、さまざまな地質現象が見られ「野外博物館」といわれる。
2時間近くかかり駐車場のある観光センター前に。自然園はさらに先だ。行きは「自然園入口」までシャトルバスに乗る。10分ほどで下車して歩き始め、800メートルほどで玄関口の平成の森広場に。

ミズバショウの多い今池湿原に向かう途中から、ひょうたん池へ。水中にクロサンショウウオが産んだ繭玉のような白い卵嚢が浮かぶ。ほとりの木の枝に泡のような卵塊を産み付けるモリアオガエルの産卵はまだ先のようだ。
今池湿原に戻り、ミズバショウを見ながら周囲を歩く。山里の鬼無里の中でも「秘境」といわれるこの地に、ミズバショウの大群落が発見されたのは1964年。その数81万本とされ、尾瀬沼を上回る本州一の群生地といわれてきた。
だが、最近は積雪が少ないためか、湿原中に雪解け水が行き渡らず育っていない部分も目立つ。それでも緑の葉に包まれた白い仏炎苞の数々は見応えがある。少し早く来ればもっと良かったはずだ。
湿原の途中には、奥裾花渓谷の大岩壁と、その先に戸隠連峰・西岳の山並みを裏側から望む展望台がある。ベンチに腰掛けて雄大な景観を楽しむ。

続いて、同じ群生地のこうみ平湿原の入り口からブナの原生林に入り、吉池へ向かう。芽吹きが終わって間もないブナ林は、やさしい緑の葉に覆われ癒やされる。時折、ウグイスの鳴き声が聞こえる。
最奥部にひっそりとたたずむ吉池は、周囲を樹林に囲まれ幽玄な雰囲気が漂う。向かい側にそびえるトチの大木は樹高30メートル、推定樹齢400年と案内看板にある。
ここで昼食を食べ、こうみ平湿原に向かう途中、ブナの木の枝先を仰いでいた仲間が、縁が虹色の雲を見つけた。後ろ側から雲に太陽光線が当たった時に現れる現象の彩雲だ。

こうみ平湿原でもミズバショウを楽しんだ後、帰路へ。下りはシャトルバスに乗らず、観光センターまで歩く。向かい風が強く往生したが、売店で名物のきび団子をいただく。
鬼無里ではふるさと資料館に立ち寄った。明治の宮彫り師・北村喜代松が手掛けた祭り屋台や村の暮らしを見学。充実した展示に感心した。最後に戸隠の裾花川沿いの温泉施設で体を温め帰宅した。
(横内房寿)
2026年5月23日号掲載



