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160 西沢渓谷

  • 6 分前
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連続する滝と紅葉楽しむ

連続して流れ落ちる『日本の滝百選』の七ツ釜五段の滝
連続して流れ落ちる『日本の滝百選』の七ツ釜五段の滝

 山の紅葉も終盤となった11月中旬、山梨市の景勝地・西沢渓谷を訪れた。旅行社の滝巡りウオーキングのバスツアーに山仲間と2人で参加。清冽な水がほとばしる渓谷美と名残の紅葉を楽しんだ。


 森林セラピー基地でもある西沢渓谷は秩父多摩甲斐国立公園内にあり、笛吹川の上流・西沢に沿ってトレッキングコースが整備されている。全長10キロ、往復4時間半のコースは歩きがいがある。


 中野・須坂方面から来たバスは早朝5時半に我々を乗せて長野インターを出発。長野道から中央道に入り、更埴、安曇野、松本、塩尻北、岡谷、諏訪、小淵沢、長坂の各インター近くの駐車場で順次客を乗せ総勢35人に。


 一宮御坂(みさか)インターを降りたバスは埼玉県へ向かう一般道を北上。予定通り10時ごろ目的地の道の駅みとみに到着。準備体操の後、7人ずつ5班に分かれ、それぞれに地元ガイドが付いて歩き始めた。


 間もなく西沢渓谷の入り口に。車止めゲートがあり、ここからは一般車両進入禁止。30分ほど歩くと、今は廃業した西沢山荘に。近くには秩父山地の渓谷美を紹介した英文学者で登山家の田部重治の文学碑も。


鎖場もある渓谷沿いの道を歩く
鎖場もある渓谷沿いの道を歩く

 その先は渓流沿いの細い道になり、東沢に架かる二俣吊り橋を渡る。最初に現れるのが三重(みえ)の滝だ。それなりの水量と落差がある。


 急な下り坂を降りると、エメラルドグリーンの淵の対岸に水流で岩がえぐられた洞が。よく見ると、内部の岩肌が人の顔のようにも見える人面洞だ。


 続いて竜神の滝、恋糸の滝、貞泉の滝が次々に現れる。音を立てて滝つぼに落ちる豪快な滝もあれば、岩肌を滑るように流れ下る滑滝も。


 やはり水流で岩が深くえぐられた母胎淵を過ぎると、圧巻の七ツ釜五段の滝だ。連続して流れ落ちる五つの滝には、それぞれに深い滝つぼや淵があり「釜」と呼んでいる。


 自然の造形による見事な渓谷美から、数ある一帯の滝の中で唯一「日本の滝百選」に指定されている。


名残の紅葉が美しい
名残の紅葉が美しい

 最後の不動滝を眺めながら急な階段を登り詰めると、旧森林軌道の終点広場(1370メートル)に。ここで13時過ぎにやっと昼食。下りはこの軌道跡をたどる。


 1968(昭和43)年まで、木材をトロッコで搬出していた軌道跡には、今もあちこちに鉄製のレールが残る。道幅もあり、平たんなので歩きやすい。


 時々、先ほど歩いた深い谷底を見下ろす。斜面は一面の雑木林で、名残の紅葉が美しい。最後のネトリ大橋を渡る時、谷の奥に稜線がニワトリのトサカの形をした鶏冠山(とさかやま:2115メートル)が見えた。


 帰路は同じコースをバスで戻る。15時に道の駅を出たが、岡谷ジャンクション付近の渋滞に巻き込まれ、帰宅したのは20時を過ぎていた。


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(横内房寿)


2025年12月6日号掲載

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