黄葉と霧の浅間山を展望
「浅間山の展望台」として知られる小諸市の黒斑山(くろふやま=2404メートル)に、10月下旬と11月中旬の土曜日に2回登った。最初は「浅間ゴールド」と呼ぶ、カラマツの黄葉に染まった雄大な姿を堪能した。しかし2回目はガスが濃く白いベールに閉ざされていた。
1回目はスタッフを務める長野県カルチャーセンター「里山講座」の下見に。仲間3人が2台の車で長野市内を7時半に出発。長野インターから上信越道を走り、小諸インターで降り、チェリーパークラインで高峰高原へ。
途中から林道に入り、下山口の天狗温泉浅間山荘の駐車場に1台を置く。もう1台に3人が乗って9時半ごろ登山口の車坂峠に。駐車場は既に満車。紅葉シーズン最盛期とあって人気がうかがえる。
9時50分に表コースから登り始める。辺りには溶岩が点在し、コケモモ、ガンコウラン、シラタマノキなどの低木が多い。手前の車坂山から鞍部に下り、急坂を登り返す。
途中から遠くを見渡すと、佐久平を覆う雲海の上に富士山や八ケ岳が浮かぶ。さらに南アや中ア、北アルプスも一望できる。
間もなく鉄板で覆われたかまぼこ形のシェルター(避難小屋)が現れた。その先の槍ケ鞘からは、眼前に大きな浅間山の姿が。上部は黒っぽいが、下部はカラマツの黄葉に染まっている。
すぐそばの絶壁上のトーミの頭(かしら)へ登ると、展望が良いだけに昼食を取る人たちでいっぱい。いったん下り、樹林の中を登り詰めると黒斑山の山頂だ。第1外輪山のここから浅間山は真正面の位置になる。火口原の湯ノ平や同じ外輪山の牙山(ぎっぱやま)を見下ろしながら昼食に。
下山はトーミの頭近くの分岐から火口壁の草すべりを下る。急坂の連続で岩場もあり、気が抜けない。この急斜面を登ってくる若者たちに出会った。聞けば黒斑山から蛇骨岳(じゃこつだけ)、仙人岳、鋸岳(のこぎりだけ)を経てJバンドを降り、湯ノ平を下ってきて登り返している、という。
13時半過ぎに湯ノ平口に到着。ここから火山館までは平たんで快適だ。1階部分がシェルターになっている火山館の2階テラスで休憩し、下山口の浅間山荘へ向かう。
この道がまた長い。深い谷間の樹林の中をどんどん下って行き、不動滝を見ながら進む。16時半過ぎにようやく浅間山荘に到着した。
ここから朝方駐車しておいた車で車坂峠へ。途中、真っ赤な夕焼けをバックに北アルプスが黒いシルエットに。17時過ぎに峠に着いた頃には既に暗くなっていた。
2回目の「里山講座」本番は、同じルートで直接車坂峠へ。下見の結果、表コースから黒斑山に登り、中コースから下ることに変更。朝方は天気も良かったが、槍ケ鞘に着くころにはガスが湧き、肝心の浅間山は影すら見えない。
黒斑山の山頂では霧雨となり、風も吹きつけてきた。樹林の中に入って寒さに震えながら昼食を取り、早々に下山。帰路に立ち寄った東御市の温泉で体を温め、やっと人心地がついた。同じ山でも気象によって随分違うものだと実感した。
(横内房寿)
2024年11月30日号掲載