126 飯縄山(小川村)
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126 飯縄山(小川村)

北ア見て社殿立つ山頂へ

小川天文台の広場から北アルプスを望む

 五月晴れとなった5月中旬の平日、長野県カルチャーセンター「里山講座」の講師Nさんと、来月出かける長野市中条の虫倉山(1378メートル)の下見に行き、その足で小川村の飯縄山(いいづなやま)(1203メートル)に登った。

 長野市と飯綱町境にある飯縄山(1917メートル)と同じ山名のこの山は、虫倉山への登山ルートの一つ「大洞(おおどう)コース」の最初のピークだ。麓から遊歩道が延び、山頂には一帯の農業の神を祭る稲丘(いなおか)神社がある。

 長野市内を9時に出て、七二会から小川村に通じる上の県道で中条に入り、数カ所ある虫倉山の登山口を見て回る。途中、支所にも立ち寄り、各ルートの説明を聞き、一般ルートの「不動滝コース」の登り口まで往復してみた。


山頂に立つ稲丘神社の社殿

 その後、小川村の大洞高原へ向かう。よく晴れたこの日は、雪解けが進む北アルプスの山並みを各所で一望。白馬方面の眺めを楽しみながら昼食にしようと、小川天文台の広場に上がったところ、先客が一組。仲の良さそうな夫婦がベンチに並んで山を見ていた。

 顔を合わせると、何と定年前の会社の元同僚。下の道の駅で買ってきたおやきを食べながら景色を見ていたという。現役時代は多忙だった彼も、夫婦でゆとりの時間を持てるようになったのだ。

 昼食の後、反対側の大洞池の脇から飯縄山に登る。登山口には杉の大木の間に鳥居があり、稲丘神社の参道が遊歩道になっている。

 杉林の中をわずか登ると舗装道路に出て、しばらく車道を歩く。傍らの草むらには、たくさんのチゴユリがかわいい花を付けていた。

山頂部で見かけたイカリソウとヒトリシズカ

 駐車スペースがある所で舗装路は終わり、幅の広い土の道に変わる。途中、左側にあずまやがあり、杉並木を抜けると右側にもあずまやが。

 その先が山頂だ。稲丘神社の立派な社殿が立つ。説明板には「明治41(1908)年に飯縄神社から改称した」とある。六文銭が屋根の棟木(むなぎ)にあしらわれ、内部をのぞくと幕にも施されていた。

 ここでは春と秋に村人たちが麓から神楽を押し上げて今も祭りが行われている。道幅が広く、あずまやが2カ所もあるのは、そのためなのか。

 山頂部は樹林に覆われ景色が見えないため、さらに先の展望台の峰まで行くことにする。薄暗い林の中を鞍部(あんぶ)まで下ると、その先は急な上りが待ち受ける。

 展望台の先には大洞山(1345メートル)があり、その向こうには虫倉山系の最高峰が控えている。昼からの登山では時間が足りないため、鞍部から先はまたの機会に譲ることにして引き返す。

 帰路は鬼無里へ下り、国重要文化財の白髯(しらひげ)神社の社殿を見て鬼無里の湯に入り帰宅した。

横内房寿


2022年6月4日号掲載

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