123 冠着山
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123 冠着山

坊城平から絶景の山頂へ

山頂から見下ろす善光寺平の絶景

 冬晴れとなった昨年12月上旬の平日、山仲間と千曲市の坊城平から冠着山(かむりきやま)(1252メートル)に登った。以前、筑北村側の鳥居平から登ったことがあったが、まったく異なる趣の山歩きを楽しんだ。

 「姨捨山(おばすてやま)」とも呼ばれる冠着山は、東側の山腹に子どもを抱いたように見える「ぼこだき(児抱)岩」が飛び出しているのが目を引く。坊城平からは傾斜もきつく登りがいがある。

樹間からのぞくぼこだき岩

 8時過ぎに長野市内を3人で出発。千曲市戸倉の温泉施設駐車場でほかの2人と合流し、車2台で千曲川の橋を渡る。更級小学校の先から林道仙石線に入り、しばらく走ると伐採工事現場に出くわした。

 大型重機や伐倒木が林道をふさいで通れない。12月からこの林道は冬季閉鎖にして伐採作業を進めているという。作業員に聞くと、登山口の坊城平まで「車なら10分程度」というので、林道脇に車を置いて歩く。

 ところが意外に遠く、着くのに1時間以上かかった。坊城平いこいの森には広い駐車場やキャンプ場、立派なコテージ、善光寺平を見通せる鉄骨造りの展望台まである。

 11時過ぎに登り始める。間もなく左側に十三仏を祭る13個の大石が。尾根筋に取り付くと斜度が増し、つづら折れに登る。

 左からぼこだき岩コースが合流し、その先で右側から屏風(びょうぶ)岩の下を通る道が合わさる。すると尾根上に両腕を広げたような枝ぶりのアカマツが現れた。勝手に「バンザイ松」と名付けた。

登り詰めた山頂の鳥居

 そこから、ひと登りすると山頂だ。木製の鳥居をくぐると、平らな草地が広がる。正面に冠着神社の社殿。その手前に立派な方位盤があり、中央に三等三角点がある。

 山頂からは南北に眺望が開ける。特に北側は、正面に雪化粧した北信五岳。西側にかけて白馬方面の真っ白な北アルプスが続く。

 眼下には千曲市から長野市にかけて市街地が広がる。中央をゆったりと蛇行する千曲川は青空を水面に映して青い。「日本三大車窓」とされるJR姨捨駅付近からの風景をもっと高い位置から見下ろすのだから絶景だ。

 南側は筑北の山々の向こうに美ケ原や霧ケ峰が。蓼科山や八ケ岳もよく見える。だが、方位盤にある富士山や浅間山などは樹木に隠れて見えない。

 暖かい日差しを浴びながら山頂で昼食を取り、13時に下山へ。ぼこだき岩コースに入ると、急に道が狭まる。谷側に落ちないように慎重に足を運ぶ。

 危険地帯を過ぎると、ぼこだき岩へ通じているような道があったが、案内標識がないため行きそこねてしまった。樹間から時折のぞく直立した岩を見やりながら坊城平へ。

 そこから再び林道を伐採現場まで歩く。日影は寒く、2021年納めの登山となった。

 横内房寿


2022年1月15日号掲載

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