草の茂みや葉の裏でじっと 呼吸量は著しく低下

観測史上最速の梅雨明けとなった今年、長い夏にお疲れの人もいると思います。
昆虫にも暑さが苦手なものがいて、中には夏の間「かみん」をする虫もいます。「仮眠」ではなく「夏眠」です。暑さに耐えるため、草の茂みや葉の裏でじっと過ごすのです。
その虫とは「テントウムシ」です。全てのテントウムシが夏眠をするわけではありません。代表的なのが、赤い羽に黒い点が七つある「ナナホシテントウ」で、夏の間はほとんど見ることができません。
さらに、並のテントウムシという意味の「ナミテントウ」も夏眠仲間。気温が30度を超えると呼吸量が著しく低下し、夏眠状態になるそうです。
ナミテントウはこれまで西日本や東日本に住むものだけが夏眠をしていましたが、最近は北日本でも報告が上がっています。地球温暖化の影響で、夏眠をする地域が拡大しているようです。
ところで、長野は全国的に見ても暑さが厳しい地域ですが、暑いのは「あるもの」がないからです。他県にはあって、長野にないもの…そう、「海」です。
海は陸に比べて暑くなるのも寒くなるのも1カ月前後遅れます。今の時期は海の方が冷たいため、海に近い地域には冷たい海風が入り気温が上がりにくいのです。反対に海のない長野は暑くなりやすいというわけです。
特に海風の影響が顕著なのは「沖縄」です。暑いイメージのある沖縄ですが、統計開始(1890年)以降の最高気温は「35・6度」。なんと今年の長野の最高気温よりも低いのです。
地球温暖化が進めば、沖縄が避暑地になるということもあり得なくはなく、「沖縄以外では夏眠」という虫も出てくるかもしれません。
気象予報士・防災士
2022年7月30日号掲載