クロナガアリの冬の生活

地下4㍍に暖かい巣 集めた種食べ暮らす

 イソップ物語の一つに「アリとキリギリス」があります。

 夏の間も食料を蓄えるため働くアリをよそに、キリギリスは遊んでいて冬に食べ物がなくなり、アリに助けを求めるという話です。この働き者のアリのモデルになったのが「クロナガアリ」です。

 一般的にアリは、冬は体が冷えて動けないため巣の中でじっとしていますが、クロナガアリは秋から活発に動き出します。

 その理由は、主食としている植物の種がよく落ちる秋に餌を集めるためです。

 さらに、巣にも秘密があります。クロナガアリは地表から深さ4メートルくらいまで巣を掘ります。ここまで深いと巣の温度が外気温に影響されにくく、冬でも10度以上あるため、集めた種を食べて暮らすことができるのです。

 地中の温度は一年を通してあまり変わらず、環境省によると深さ10メートルの地温は年平均気温とほぼ同じになるそうです。長野は12度ほど、東京や大阪では17度前後に保たれているのです。

 気象庁では1970(昭和45)年まで地温を観測していたのですが、気温のように大きな変化がないため観測をやめました。

 地中は温度の面では快適ですが、地上で暮らす私たちは季節ごとの寒暖差に対応しなければいけません。日々の気温は主に日照時間に左右され、低気圧や高気圧のコースでも大きく変わります。

 そこで覚えておいてほしいのが、春に現れやすい「南高北低」です。日本の南に高気圧、北に低気圧がある気圧配置のことで、南からの暖かい空気が流れ込むため気温が上がります。

 特に、低気圧の反時計回りの風と高気圧の時計回りの風に挟まれた場所では、暖かい空気の流入が強まり、季節外れの暖かさになります。

 春先の急な気温の上昇は雪崩を引き起こす危険があります。スキーや登山、山菜採りに行く場合は、天気図に目を通し、「なだれ注意報」などの気象情報にもご注意ください。

気象予報士・防災士


2022年2月26日号掲載