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「裾花川とその周辺」から構想

  • 9月6日
  • 読了時間: 2分

白馬村出身のアーティスト古橋さん

制作期間の終盤、今回制作の作品と過去に発表した作品が混在して置かれた展示スペース。展示は今回の作品のみで構成されている
制作期間の終盤、今回制作の作品と過去に発表した作品が混在して置かれた展示スペース。展示は今回の作品のみで構成されている
県立美術館で公開制作 成果展「野のさま」開催中

 箱清水の県立美術館で6月末から2カ月余りにわたって公開制作を行ってきた白馬村出身のアーティスト古橋まどかさん(42)=東京都=の成果展「野のさま」が同館1階のオープンギャラリーで開かれている。9月28日(日)まで。


 古橋さんは、自身が赴き滞在した場所の周辺に広がる風景の中から、自分が「特別」と感じて取り出したものを配置した作品を基調としたインスタレーションを手掛ける。会場には、裾花川上流で採取した石油を燃やしてすすを付着させた瓶、つるや枯れ枝、野の花などの植物、現地に特徴的な土や石、西山地域で駆除されたシカのなめし革の端切れなどをパーツとして構成された作品空間が広がる。


 古橋さんは、中学校までを白馬村で過ごし、東京で高校生活を送った後、世界的に有名な建築学校として知られる英国AAスクールで建築を学んだ。卒業後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート大学院芸術学科修士課程で本格的に美術を学び2013年に修了。


採取してきた石油をすすにして付着させたビンの展示構成を考える古橋さん
採取してきた石油をすすにして付着させたビンの展示構成を考える古橋さん

 翌14年、資生堂ギャラリーが新進アーティストを応援する公募プログラム「第8回シセイドウアートエッグ」で入選。同ギャラリーで個展開催の機会を得たのを皮切りにアーティストとして歩みだし、近年は国内外各地での滞在制作を中心に活動している。


 今回の公開制作のタイトルは、「ののさま(仏様)」の「の」を「野」に置き換え、作品作りのテーマとした自然のありようを表した。「そこで暮らす人々の営みが自然の歴史にどう接続しているかのような部分に目が留まる」という古橋さんが、今回の制作で大きな関心を寄せたのは、裾花川とその周辺だった。


 古橋さんは「風景の見えないところにあるものや、それが私たちにどうつながっているのか。森の奥や、水や土の中にあるものを感じてもらえたらいいなと思いながら制作してきた」と振り返り「美しさとか、何かそこに感じてもらえるものがあればうれしい」と話した。


 9月15日(月)14時から15時半まで、古橋さんが今回制作の新作について話すアーティストトークを開催。参加無料。定員30人、当日先着順で受け付け。


 開館時間は9時から17時。水曜休館。観覧無料。

 (問)同館☎︎232・0052


記事・写真 中村英美


2025年9月6日号掲載

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