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七二会の養蚕史に思いをはせて 

  • 11月1日
  • 読了時間: 3分

日本の製糸産業の歴史たどるドキュメンタリー

手にした人に喜んでもらえる製品を目標にシルク灯籠の制作に取り組む児童たち
手にした人に喜んでもらえる製品を目標にシルク灯籠の制作に取り組む児童たち
住民有志ら あさって上映会 七二会小児童らの学習活動発表も

 七二会地区の住民有志らでつくる「七二会いいとこ発見委員会」(スミス陽子代表、8人)は11月3日(月)9時半から、ドキュメンタリー映画「シルク時空をこえて」の上映会を旧七二会中学校体育館で開く。


 映画は明治から昭和初期にかけて、日本の近代化の礎となった製糸産業の歴史をたどる。当日は上映前の約15分間、養蚕学習を続ける七二会小学校児童たちが活動の様子を発表。上映後は、撮影も手掛けた監督の熊谷友幸さんのトークがある。


 委員会では「かつて主要産業としていた七二会の養蚕の歴史に思いをはせるとともに、ふるさとを誇りに感じてもらう機会にしてほしい」と広く来場を呼びかけている。入場無料。


 七二会地区はかつて養蚕業が盛んで、1911(明治44)年から15(大正4)年にかけて養蚕農家は約500戸に上った。七二会小学校の校章デザインには、地域のシンボルとして桑の葉が用いられている。しかし今日、養蚕農家はなくなり、過疎と高齢化が進んでいるのが現状だ。


完成したシルク灯籠。地元に飛来するアサギマダラの切り絵や押し花、落葉などの飾りがあしらわれている
完成したシルク灯籠。地元に飛来するアサギマダラの切り絵や押し花、落葉などの飾りがあしらわれている

 こうした中、2018年に住民自治協議会が中心となって、明治晩期に蚕の卵を貯蔵するため同地区大平に造られた天然の冷蔵庫「風穴」を復元整備した。この場所の利用を小学校にも案内したことがきっかけとなり、翌19年、当時の3年生が蚕の飼育を始めた。20年からは、3、4年生が総合的な学習の時間で養蚕学習に取り組み、以降、同校を象徴する活動として定着。地域の人たちから桑を分けてもらったり、繭から糸を取る方法を教えてもらったりするなどの協力も得ながら、繭を活用した「シルク灯籠」の制作を開始。23年からは活動資金調達のため「信州新町道の駅」などでの販売を始めた。今では七二会の地域おこしの要に位置付けられる活動になっている。


 上映会は、今年4月に委員会活動の一環として市芸術館で同映画を鑑賞したメンバーが地元での上映を切望。七二会支所発地域力向上支援事業に採択されて実現した。


 「この映画が地域の中で人と人を結ぶきっかけになればいい」と委員会メンバーで事務局を務める西沢佳代さん。「地区外からも大勢の人に足を運んでもらい、七二会を知ってもらえたらうれしい」と話す。


 会場では、児童たちが手がけた最新のシルク灯籠の展示と受注も受け付ける計画。繭玉を使ったコサージュや地元で栽培に力を入れるイネ科の穀物ソルガムなどの販売もある。


 参加者は上履きを持参。


 (問)スミス☎︎090・9669・2588


記事・写真 中村英美


2025年11月1日号フロント

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