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祈りの世界に焦点

  • 8月2日
  • 読了時間: 2分

県立歴史館で「安曇野」展

善光寺仏師・妙海の初期作とされる「日光・月光両菩薩像」(県宝)
善光寺仏師・妙海の初期作とされる「日光・月光両菩薩像」(県宝)

 安曇野の里山に残る自然信仰や仏教信仰など「祈り」の世界に焦点をあてた企画展「安曇野〜知られざる里山の祈り」が県立歴史館で開かれています。


 「日本の原風景」とも呼ばれる現在の安曇野の景観ができたのは、堰(せぎ)の開削が進んだ江戸後期からといいます。今回の企画展では、それ以前の安曇野がどんな地であったのかを、古くから民衆の信仰に支えられて残る里山寺院の資料や寺宝、仏像など重要文化財8点を含む計75点の展示を通して紹介。「祈りの地」であった安曇野の知られざる魅力を伝えます。


 展示は「原始・古代の安曇野〜祈りの原点」「中近世の安曇野」「近世以降の安曇野〜祈りの継承」の3章で構成。原始、古代では、9000年前の縄文早期、国内最古級の祭祀(さいし)跡とされる「山の神遺跡」(大町市常盤)と出土品を紹介。この時代を代表する「押型文土器」と先端が丸い特殊な形態の「トロトロ石器」などを展示しています。


 中近世の安曇野では、安曇野市明科の高久寺蔵の「日光・月光両菩薩像」(県宝)を展示紹介。共に善光寺仏師の一人「妙海」が34歳で初めて手掛けたとされる仏像で、地方仏師の技量を超えていると評価される端正な顔立ちや衣紋の細やかな表現などを間近にできます。


 松川村の観松院蔵で日本最古級といわれる「銅像菩薩半跏(はんか)像」(国重要文化財)、松本市の真光寺蔵の「阿弥陀如来三尊像」(同)、大町市の覚音寺蔵の「木像千手観音立像」(同)と「木像多聞天立像」(同)などの展示もあります。


 企画展主担当で同館文化財指導主事の小林寿英さん(43)は「展示を通して安曇野はもともと一つの文化圏だったことを知ってもらい、手を取り合って未来を考えていくきっかけにしてもらえたらうれしい」と話していました。


 併設の小展示室では、戦後80年の節目の年に、戦争を改めて見つめ直す機会にと「長野県人の戦争体験〜戦中のスケッチブック・日記が語るもの」を同時開催。1945年8月15日前後、3人の長野県人が、それぞれが暮らす場所で記した日記やスケッチブックを展示紹介しています。


 8月24日(日)まで。9時から17時開館。休館日は月曜(祝日の場合は開館)と祝日の翌日。入館料は企画展のみ一般300円、大学生150円、高校生以下無料。

 (問)同館総合情報課☎︎274・3991


2025年8月2日号掲載

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