東山作品で最大級「大下図」公開
- 11月1日
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県立美術館で「東山魁夷」展

長野県立美術館(箱清水)は11月16日(日)まで、併設する東山魁夷館の開館35周年記念展「東山魁夷 永遠の海〜私は、いま、波の音を聴いている」を開いています。日本画家東山画伯(1908〜99年)の日本の風景を描いた代表作計94点を展示。第1部では同館が2023年から2年間、2700万円をかけて修繕、額装整備をした皇居宮殿壁画「朝明けの潮」の原寸大の「色分け大下図」を公開しています。
大下図は、縦約4メートル、横約15メートル。宮内庁の依頼で皇居宮殿に設置された完成作品制作の前年1967年に、大きさや色のバランスを確認するために描かれたものです。
完成作品は、東山作品では最大級。画業の代表作であるものの、一般公開されていないため、皇居以外で原寸の作品を見られるのはこの大下図のみでした。同館では、98年に本人から寄贈された後、巻いた状態で保管。21年の本館の全面改築により、超大型作品の展示と収蔵が可能になったことから、35周年の記念展で展示公開できるよう整備を進めてきました。
朝明けの潮は、山口県長門市の青海島(おおみじま)の岩がモチーフ。大きなサイズだったため、東山さんは自宅の庭に仮設のアトリエを建て、特注のリフトを使って描いたといいます。
学芸員の松浦千栄子さんは「原寸大の巨大な画面から本画の迫力と東山魁夷画伯が見た日本の海景の雄大さを体感してほしい」と話していました。
第2部の「日本の風景」には、戦後の日展で初めて特選を受賞した「残照」(1947年)や、広く一般に知られるきっかけになった「道」(50年)、野尻湖から黒姫山を臨む秋景を描き、日本芸術院賞を受賞した「光昏」など多くの代表作が並びます。
水曜休館。開館時間は9時から17時。観覧料は一般1700円、大学生1300円、高校生以下または18歳未満無料。
(問)同館(ハローダイヤル)050・5541・8600
2025年11月1日号掲載



