小川村に「ずくだせ創庫ギャラリー」
- 10月4日
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旧稚蚕飼育所を改築オープン 絵足紙と木彫り作品展示

管理者の丸田さん「新たな発信拠点に」
小川村瀬戸川の旧稚蚕飼育所を改築した「ずくだせ創庫ギャラリー」が開設された。ギャラリーには、「絵足紙」を制作する風子(本名・冨永房枝)さん(62)=三輪=と、木彫り作家の高橋敬造さん(79)=鬼無里=の作品を展示する。9月下旬に開かれたオープン記念式典では地元の小中学生が太鼓演奏で盛り上げる中、2人は村内外から参加した60人以上とオープンを祝った。同ギャラリーを管理する民宿業の丸田勉さん(77)=瀬戸川=は「長い付き合いの2人の友人に何ができるか考えた末、将来にわたって作品を収蔵・展示できる場所をつくった。作品は増えていくので、魅力を発信し続けられればうれしい」とあいさつした。
建物は、稚蚕飼育所の後、キノコの栽培所になったが、最近は空いていた。広さは約136平方メートル。トイレのほか、入り口にスロープを設けた。「隣接の旧管理棟は1986年に村の活性化を目指して若者が立ち上げた『ずくだせ創造局』の拠点だった。多くの人の協力で新しい施設になったのは感慨深い。新たな村の魅力の発信拠点になれば」と丸田さんは言う。
約120点を展示する風子さんは脳性小児まひのため両手が不自由で足を使って詩や絵を描き、「絵足紙」と名付けて県内外で展覧会などを開いている。
ギャラリーには、96年に初めて描いた作品「いちご」のほか、花に「今ここから未来への一歩」の言葉をのせた新作などを展示している。風子さんは「こんなに素晴らしいギャラリーができて幸せ。絵を描くことは楽しく、苦しく思うこともあるけれど自由になれる。見る人も自由に楽しんでほしい。大好きな丸田さんと小川村の役に立てればうれしい」。
高橋さんは神奈川県出身。同村で、江戸時代の僧山居上人が制作した仏像「山居仏」に魅せられたのがきっかけで85年に鬼無里村(現長野市)に移り住み、木彫りの道に。40年彫り続けた数千体のうち、約100点をギャラリーで展示する。「作品の重みで家の床が抜けたことがある。あと10年は続けるので、丸田さんに感謝。風子さんの絵とのコラボが楽しみ」と語った。
風子さんは、「第2回ずくだせ大賞(ずくだせ創造局主催)」の大賞を受賞。高橋さんは、「ずくだせ観音像」などの木彫り像を村に寄贈し、村で個展も開いてきた。
5年前に家族で移住した工芸作家の木村崇人さん(54)は、旧管理棟を借り、「地球と遊ぶ工房」に改修し、創作活動のほか、子ども向けのイベントなどを開いている。「2人の作品には刺激を受けている。知恵と技術、元気・笑顔が集まる場所として盛り上がる予感にわくわくしている」と期待を口にした。
展示作品は販売可(応相談)。入場無料(カンパ箱あり)、入場希望者は要事前連絡。
(問)丸田☎︎090・9660・5257
記事・写真 斉藤茂明
2025年10月4日号フロント



