「好き」「趣味」生かして仕事創出
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「好き」「趣味」生かして仕事創出

飯綱町で「しごとの学校フェスタ」

物販やワークショップなど多彩な店が出た
「小商い講座」受講生ら集大成の「出店」

 飯綱町の複合施設「いいづなコネクトEAST」を会場に昨年11月から行われてきた「小商い講座」の受講生らが出店する「しごとの学校フェスタ」がこのほど、同施設で開かれた。地元の農産物を基に開発した食品の店やワークショップの店などが並び、町内外から多くの来場者でにぎわった。

 同講座は、自分の好きなことや趣味などを生かして小さな仕事を創出し、町の活性化につなげることを狙いに、町おこし会社「カンマッセいいづな」が同町の委託事業として開講。2期目となる本年度は、キャリアや趣味、家事、子育てなどの経験を生かしたいと、20代から50代の女性を中心に、定員8人のところ12人が受講した。講座では、自分のやりたいことや好きなことを掘り起こして、商品やサービスを具体化し、販売やPR・発信の仕方などを学んできた。同フェスタでの出店は講座5回目の集大成となるイベント。

 地元産の米で作った五平餅や県産米による米こうじ調味料、ウイスキーやオレンジを利用して焙煎したコーヒー豆の販売のほか、写真を飾るフォトフレーム作りや廃材を利用した楽器作り、よく寝られる方法を教えるワークショップなどバラエティーに富んだ店が並び、商品が売り切れたり、体験希望者が並ぶ店もあった。生演奏をする音楽ステージもあり、作った楽器で音を鳴らしたり、ジャズシンガーでもある受講生が歌う姿も見られた。能登半島地震復興チャリティー企画の映画上映も行われた。

 「最初は不安が大きかったけれど、パッケージやレシピなどができ、準備が進むうち楽しくなってきた」と話す原麻衣子さん(41)=飯綱町=は、米こうじを使った、化学調味料・保存料無添加の5種類の調味料を販売した。「安心・安全で体に優しい調味料を使った料理を家族に食べてほしいと模索するうちに発酵調味料の米こうじに出合った。魅力をたくさんの人に伝えたい」と、家でも簡単にできる塩こうじ造りのワークショップも開き、多くの女性がチャレンジしていた。

 同社の吉川剛史さん(44)と大平香織さん(41)は、「埼玉県から移住した際に、仕事がなかった。それなら自分で仕事をつくり出そうと思ったのが始まり。自分の願いや好きを仕事にして、自分や家族、地域が幸せになる小さな働き方(小商い)や仲間を広げていく第一歩になれば」と、受講生の今後に期待する。

 吉川さんによると、多く稼ぐより、自分らしく働きながら地域経済を循環させる手法の小商いは「月3万円ビジネス」として注目され始め、県内では下諏訪町や佐久市で支援する会社や講座などがある。

 長野市の米山亜樹さん(47)は、趣味の刺しゅうを施したブローチの店を出した。娘が書く詩が好きで、多くの人に読んでほしいとの思いを込めて詩とセットで販売した。「自分の中の不安や好き、自信などを講座で語り合って仲間が増えた。自分を表現して人とのつながりが生まれたのが財産で、小商いの良さ」。購入者から「詩と刺しゅうがすてき」との声に、「素直にうれしい」とほほ笑んだ。売り上げは同町のフリースクールОZに寄付する。

 五平餅とアクセサリーのワークショップに参加した長野市の伊藤沙和さん(7)と秋田梛(なぎ)さん(8)は「五平餅をウサギさんの形にするのが難しかった。アクセサリーはうまくできてうれしい」と、早速洋服に飾っていた。

 記事・写真 斉藤茂明


2024年3月30日フロント


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