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しあわせな選択

  • 3月14日
  • 読了時間: 2分

=2時間19分

長野グランドシネマズ((電)050・6875・0139)で公開中

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突然の解雇 人生暗転 追い詰められた末に

 突然の解雇で失業。再就職もままならない。男は実行しようとした選択とは—。韓国映画「しあわせな選択」は、ブラックなユーモアに包まれたサバイバル映画だ。 


 郊外の緑の中にたたずむマイホームには美しい妻とかわいい2人の子どもたち。家族そろってバーベキューを楽しむマンス(イ・ビョンホン)は、全てを手に入れ、幸せだった。だが25年勤めた製紙会社が買収され、マンスは会社にリストラされてしまう。再就職の面接は失敗続きで、バイトで食いつなぐ日々。妻のミリ(ソン・イェジン)は懸命に夫を支えるが、生活を切り詰めるため家も車も愛犬も手放すことに。限られたポストの争奪戦となり、追い詰められたマンスが選んだのは競争相手を排除すること、つまり殺害だった。


 原作はドナルド・E・ウェストレイクの小説「斧」。企業による人員削減をリストラというが、つまりは会社から首を切られること。何とも恐ろしいタイトルだ。家長としての責任を果たそうとするが、プライドをずたずたにされた挙げ句に、隠しながら綿密に立てた殺人計画も実行となると簡単にはいかない。襲った相手には伏兵が登場して、すんなり死んでくれないのだ。


 慣れない殺人に思わぬアクシデントが重なり、はらはらさせられる。普通ならあり得ない展開だけに映画の観客は複雑な思いにとらわれる。だが悪事には落とし穴が待ち構えていたのだ。


 このすさまじくも悲しい脚本を手掛けたのはパク・チャヌク監督。「オールド・ボーイ」(2003年)「渇き」(09年)などで、カンヌ国際映画祭での3回受賞を果たし、世界的に知られる韓国の名監督だ。現代韓国において中産階級の人生の最低ライン、主人公が守りたかったものを描きたかったという。己の心の小さな正義にふたをして容赦なく突き進む。残酷で悲惨、でも滑稽。まさに韓国映画ならではの強烈さに満ちている。


 共演者の顔ぶれは「愛の不時着」のソン・イェジンはじめ、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘランら演技派が脇を固める。


 ゴールデングローブ賞で作品賞と主演男優賞にノミネート。アカデミー賞でも国際長編映画賞の韓国代表に選ばれている。


(日本映画ペンクラブ会員、ライター)


2026年3月14日号掲載

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