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ヒアリ

  • 6月28日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月30日

驚きの大雨避難方法 体連結「いかだ」に変身

 世界には大雨という自然の脅威に対し、巧みな方法で身を守る虫がいます。「ヒアリ」もそのひとつです。


 ヒアリは南米原産で強い毒をもつアリの一種で、日本では「要緊急対処特定外来生物」に指定されています。刺されると死亡することもあるほど危険な生き物ですが、大雨の際の行動には感心すら覚えます。


 たとえば、大雨で巣が水没しそうになると、ヒアリは地上に出てきて互いの体を連結させ、「いかだ」に変身します。働きアリが足の爪や顎を使って絡み合い、撥水(はっすい)性のある体で水を弾くことで、大きな浮き輪のようになります。


 その上に女王アリや幼虫、卵を乗せて、安全に運びます。この「ヒアリいかだ」は数週間も浮き続けることができ、流れ着いた先で再び巣を作ることもあるのだそうです。


 驚きの避難方法ですよね。それぞれがいざという時の対応を把握しているからこそ、スムーズに行動できるのでしょう。


 さて、日本も雨が多い国ですが、近年は雨の降り方が昔よりも極端になってきたと感じませんか。


 気象庁によると、集中豪雨の発生頻度はこの45年間で大幅に増加しており、特に7月は約4倍にもなっています。地球温暖化などにより「線状降水帯」が発生しやすくなったためです。


 線状降水帯とは、積乱雲が次々と発生して「線状」に並び、同じ場所に長時間雨を降らせる現象です。災害のリスクが急激に高まりますが、現在の技術では分からないことも多くあります。


 しかし、分かってきたこともあります。例えば発生しやすい時間帯です。


 気象庁によると、2023年までの15年間に国内で発生した線状降水帯のうち、半数以上が午後10時から午前6時にできたものだったそうです。つまり、私たちが寝ている間に災害の危険が高まることが多いのです。


 線状降水帯が原因で大雨の恐れがある時には、半日前から注意が呼びかけられます。情報を見聞きした時には、いつもより慎重に行動してほしいと思います。

(気象予報士・防災士)


2025年6月28日号掲載

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