90メートル
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=1時間56分
長野ロキシー((電)232・3016)で3月27日(金)から公開

(C)2026映画『90メートル』製作委員会
難病を患いながらも 息子の将来気遣う母
難病を患いながらもわが子の将来を気遣う母。母のケアのため夢や希望を諦めようとする高校生の息子。「90メートル」は親を思う子の心と子を思う親の心、二つの愛の絆から生まれるヒューマンドラマだ。
小学生の頃からバスケットボールに打ち込んでいた佑(山時聡真)は、シングルマザーの美咲(菅野美穂)の応援で伸び伸びと成長していた。しかし美咲が進行性の難病を発症し、日に日に介護や家事に追われるようになる。昼間は介護施設のケアマネージャー下村(西野七瀬)の助けはあるものの、すべてに手助けが必要な母親のそばを離れることができない。周囲に打ち明けられず、高校2年でバスケ部も辞め、大学進学も諦めかけた時、思いがけないことが起きる。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病で、体だけでなく次第に言葉も不自由になるなかで、明るく振る舞う気丈な美咲。息子を愛するからこそ夢を諦めないことを後押しする母の愛の強さが胸を打つ。難病を全身で演じた美咲役の菅野美穂が、息子の人生を奪うことへの切なさや弱者のすべてをさらけ出しながら息子の未来を願う慈母のまなざしと表情が美しい。
中川駿監督自身も若くして、がんの母親をみとった。難病の母と子のドキュメンタリー映画や、終末期医療のリサーチを経て脚本を書き上げた半自伝的作品だという。
人は誰もが老い、病気などで本人自身の思いだけではどうしようもないときもある。他人に任せることへの罪悪感から、学業や友人関係、趣味など、本来子どもとして過ごせる時間を犠牲にせざるを得ない子どもたちがいる。そんな子どもたちに、周囲からの声掛けや理解が必要だという。困ったときにどう声を上げたらよいのか。どの家庭でも起こりうる問題として、学校や地域、公的機関で相談窓口が設けられている。「人は一人ではない」そんな温かいメッセージが伝わる。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年3月21日号掲載



