157 高標山
- 7月19日
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緑の樹林と眺めを楽しむ

梅雨の晴れ間となった6月最後の日曜日に、木島平村の高標山(たかっぴょうやま)(1747メートル)に登った。緑が美しいブナの巨木とダケカンバの樹林の中を往復。山頂では奥信濃の山々を眺めることができた。
高標山は登山口の案内標識に「Mt.Kohyosan」とも書かれていたが、地元では「たかっぴょう」と呼ばれている。長野市街地から北東に見える志賀高原の山並みの北にポツンと見える小さなピークだ。
山仲間3人で7時半に市内を出発。須坂長野東インターから上信越道を走り、中野インターで降りて志賀高原方面へ向かう。
途中で左折し、山ノ内町の夜間瀬から須賀川を抜け、木島平村に入る。ほどなく右折し、カーブの多い清水平林道を上へ上へと進む。

9時前にカヤの平総合案内所に到着。玄関には「熊に注意」の呼びかけが目立つ。北信濃では今年に入ってクマによる人身被害が多いだけに、気を引き締める。
案内所の先の車止めゲートを9時10分に出発。よく鳴るようにストックに熊鈴を付け、時々吹けるように首からは笛をぶら下げる。
広い林道を30分以上歩いたところで、3人とも登山口を見過ごしていたことに気づく。たまたま出会ったタケノコ採りで入山していた村の人の案内で同じ道を戻り、登山口を教えてもらう。
よく見ると、入り口の両側にある案内標識が二つとも倒れて草むらに埋もれていた。50分以上ロスし、10時10分に登り始める。最初はよく伸びたカラマツ林の中を進む。足元には花の終わったエンレイソウが目に付く。

きつい上りを過ぎると林相が変わり、二抱えほどもあるブナの巨木が目立つようになる。豊かな葉が空を覆い、緑のトンネルの中を歩いているようだ。
ダケカンバの林が多くなると、左手からの登山道と合流する。小休止の後、稜線を歩くと登山道の中央に大きな黒いふんがあるのを見つけた。まだ新しい。クマに違いない。
小さな上り下りを繰り返し、最後にひと登りすると山頂部に出た。大きな石の祠が鎮座し、眺望が開けている。西側は高社山を見下ろし、中野から長野市街地まで見通せる。

南には志賀高原の山々が連なり、東には苗場山や鳥甲山も。北は樹木に覆われていたが、樹間越しに妙高山など北信五岳が。照り付ける日差しの下で昼食を取り、同じルートを下山する。
帰路は清水平林道を下り、村内の馬曲温泉に立ち寄る。最近リニューアルした温泉は随分きれいに。入浴料は1000円と高くなったが、熱い露天風呂に漬かり、椅子に座って緑の高社山を眺めながら涼風に吹かれるのは贅沢三昧(ぜいたくざんまい)だった。
(横内房寿)
2025年7月19日号掲載