129 鳥海山
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129 鳥海山

憧れの名峰で花を楽しむ

晴れてようやく姿を現した山頂部の新山

 天候不順が続いた7月末、山仲間3人で東北の名峰・鳥海山(ちょうかいさん=2236メートル)に登った。秋田・山形県境にそびえるこの山は、日本海まで裾野を引く秀麗な姿から「出羽富士」「庄内富士」とも呼ばれる。この時季は雪解けとともに一斉に咲く花々が見頃だ。

 いつかは登りたいと願ってきた山だけに天気を見極め、日程を2度延ばし、満を持して出発日を迎えた。長野からレンタカーを利用。3人が交代で運転し、2泊3日の日程で登り、片道約400キロの道のりを往復した。

 初日は9時に長野市内を出発。坂中峠を越えて信濃町インターから上信越道に。上越ジャンクションから北陸道に入り、新潟市を過ぎて日本海東北道を北上する。


至る所に広がるお花畑

 まだ全線がつながっていないため、村上市から先は国道7号を走り、山形県鶴岡市から再び日東道に。酒田市の先からまた国道に出て、各地の道の駅に立ち寄りながら16時に遊佐町の国民宿舎大平山荘に到着した。

 2日目は4時に起床。はるばる長野から来たというのに、何と外は雨。朝食用の弁当と昼食用のおにぎりをもらい、6時半に車で出発し、秋田県側の登山口・鉾立(ほこだて)に向かう。

 車内で朝食弁当を食べ、7時にスタートする頃に雨は上がったが、山は深い霧に包まれている。5メートルほど先は見えない中を黙々と歩く。途中でじんましんや足のけいれんに悩まされ、11時ころ休憩地点の御浜小屋に着く。

 その先の御田ケ原(みたがはら)から七五三掛(しめかけ)にかけては一面のお花畑だ。その辺で昼食にし、急坂を下って千蛇谷(せんじゃだに)に入る。雪渓を横断すること4回。岩ゴロ道を登り詰め、16時に山頂直下の御室(おむろ)小屋に到着した。


雪渓が残る鳥海湖

 3日目は4時前に起床。外は相変わらず濃霧と強風のため、山頂ドームの新山への登頂は断念。朝食後、6時半に小屋を出て、四つの峰が連なる外輪山コースへ向かう。途中の雪渓は凍っていて恐る恐る渡る。急坂を登り切り、尾根上に出ると快適な道に。

 9時を過ぎると晴れてきた。一気に視界が広がる。かつて訪れたスイスの草原を思わせるようなお花畑が至る所に広がる。朝方、登頂を諦めた新山も初めて姿を現した。

 御田ケ原で鳥海湖を巡るコースに入る。緑と雪に囲まれた火口湖は、山中のオアシスのようだ。付近の雪渓から雪解け水が流れ込んでいる。

 周辺の高山植物の花々を楽しみながら、御浜小屋で来た時のコースと合流。登山口の鉾立に着いた時は15時半を回っていた。帰りに前夜泊まった大平山荘で入浴し、17時に帰路に就く。

 途中で日本海に沈む赤く大きな夕日を見て、来た道と同じコースをひた走る。米山サービスエリアで遅い夕食を取り、24時前に帰宅した。

横内房寿


2022年8月20日号掲載

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