127 笠ケ岳
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127 笠ケ岳

短時間で登れる階段の山

急な階段が続く登山道

 志賀高原へネマガリダケのタケノコ採りに行った足で、6月中旬の日曜日に学生時代の仲間3人で笠ケ岳(2076メートル)に登った。長野市内から東方の山並みを望むと、横手山(2305メートル)の左手に見える形のよい三角すいの山だ。

 地図上の表記は「笠ケ岳」だが、地元では「笠岳」と呼んでいる。急な階段が続くが、短時間で登れる山として人気がある。

 前夜泊まった蓮池のホテルを9時半ごろ出て、車で群馬県境の渋峠方面へ進む。途中、熊の湯温泉の付近から高山村へ通じる狭い県道に入り、登山口の笠岳峠へ。

 タケノコシーズン最盛期とあって、この間の車を止められる広さのある道路脇には至る所に県内車が。大勢の人が背丈を越すささやぶに分け入ってタケノコを採っている。


巨岩が積み重なった狭い山頂部

 峠の茶屋前の駐車場は普段がら空きだが、この日は何と満車。少し先の広い路肩に車を止め、10時前に登り始める。天気は上々。少し歩くと、段差の大きい樹脂製の階段上りが始まり、すぐ汗ばむ。両脇に張られているロープをつかみながら体を持ち上げるようにして足を運ぶ。

 若い頃は一気に頂上まで行けたが、75歳を過ぎるとさすがに息が上がる。休み休み登るしかない。時々足を止め、呼吸を整えてからまた登る。両側に手すりの付いた木製階段に変わると、一段と斜度が増す。

 あえぎながら山頂付近に近づくと、今度は岩場だ。大きな石がゴロゴロしている急坂を上り詰めると、目の前にコイワカガミのピンクの花の群落が現れた。

 大きく回り込んで山頂部に出ると、いきなり「あら、横内さん」という若い女性の声。誰かと思ったら、旧知の長野市民病院の女性職員だった。最近は山で思わぬ人に出会う。


裏側を通れる豪快な雷滝

 頂上は一段高い巨岩の上。石の祠(ほこら)の上にはさらに石が積まれている。鎖を伝って登るとかなり高度感がある。狭い山頂に立つ3人一緒の写真を下から彼女に撮ってもらう。

 ここからは360度の眺望が広がる。残念ながら西側の長野市方面はかすんでいたが、東側には深い緑の谷を隔てて横手山が眼前に。空気が澄んでいれば、北アルプスから浅間山、富士山まで見渡せるという。

 帰りは同じ道を休まずに降り、20分ほどで下山。帰路は山田牧場から山田温泉を経て須坂に向かう。途中、松川渓谷で雷滝に立ち寄った。

 落差35メートル。水量豊かに豪快に流れ落ちる滝は谷間にごう音を響かせている。滝の裏側を通れることから、「裏見の滝」とも呼ばれる。水しぶきが降りかかるので、涼を求めるには絶好の場所だ。

 遠方から来た仲間の1人を長野駅まで送り、14時には帰宅した。

 横内房寿


2022年7月9日号掲載

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