諏訪湖見下ろし松本平一望
山歩きに快適な季節となった5月中旬の土曜日、山仲間4人で松本市・岡谷市境の鉢伏山(1929メートル)と、塩尻市・岡谷市境の高ボッチ山(1665メートル)を訪れた。
二つとも松本平と諏訪盆地を隔てる丘陵状の高みにある。諏訪湖を見下ろし、松本平を一望。鉢伏山では2017年3月の県消防防災ヘリコプター墜落現場まで足を延ばした。
7時に長野市内を出発。長野道を塩尻北インターで降り、国道19号の村井交差点から崖の湯へ向かう。さらに曲がりくねった道を上り詰めると、鉢伏山と高ボッチを結ぶ舗装道路に突き当たる。
左折して、まず鉢伏山へ。ズミの林を抜け、丘陵地帯を進むと、歩いている若者たちの姿が。鉢伏—高ボッチ間6キロのコースを徒歩で往復するようだ。
終点の鉢伏山荘前駐車場に車を置く。駐車料金1台500円は仕方ないとしても、1人300円の入山料まで徴収された。一帯は国定公園の第1種特別保護地域で、管理費が必要というのだ。
9時半過ぎに歩き始める。脇道に入って、若山牧水と塩尻出身の妻・喜志子の歌碑を見て山頂部へ。鳥居のある石の(祠)(ほこら)や円筒形の展望台がある。
駐車場に戻る途中、石の上にカメラを置き自撮りしている男性がいた。「撮りましょう」と声を掛けると、山梨県から来た人で、何と松本駅から宮入山を経て歩いて来たという。
この後も高ボッチから中央本線のみどり湖駅まで歩き、電車で帰るとか。すごい人がいるものだ。
駐車場から前鉢伏山へ向かう際、扉温泉への登山道分岐に「長野県消防防災ヘリコプター墜落現場まで0・6キロ」の標柱が。急坂を下ること30分余。谷底の沢を渡った所に、黒御影石の「誓いの碑」が設置されていた。
県内各地の消防士ら乗員9人全員死亡の惨事を、二度と繰り返さない決意が刻まれている。碑の左手上方の斜面が墜落現場だった。
同じ道を上り返して前鉢伏山へ。北側には西端の王ケ鼻から東端の茶臼山まで、横に長く延びた美ケ原が。この角度から見るのは初めてだ。松本平を眺めながら、前鉢伏山の頂上で昼食を取った後、車で高ボッチへ。
展望台のある広い駐車場に車を置き、遊歩道で高ボッチ山に。360度の眺めと、諏訪湖越しに富士山が望める撮影スポットだ。この日は八ケ岳や南北アルプスなども見えずじまい。それでも、諏訪湖は見下ろせた。
景色に見入っている脇では、無線操縦のグライダーを操る人も。遮るもののない一帯は格好の場なのだろう。
帰路は塩尻市の国道20号へ。国道を通る時、鉢伏山で出会ったあのすごい人が歩道を走っている姿を目撃。2度たまげた。
塩尻では、前日の新聞に写真が載っていた常光寺のボタンを見て、再び塩尻北インターから長野に戻った。
横前公行
2021年6月5日号掲載
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