物見の岩から長野市を見る

岩の上からの眺望楽しむ

下から見た岩のかたまり

 6月18日のまち歩きは「物見の岩から長野市を見る」。善光寺南側の門前町を歩くことが多いこの企画では珍しく、大峰山の中腹にある「謙信物見の岩」を目的地に歩いた。

 案内人はトレイルランニングが趣味という会社員の三沢幸男さん(48)。「甘い物が大好き」でもあり、道すがら菓子店で甘いおやつを仕入れ、物見の岩で食べようという趣向だ。

 朝6時半に大門町に集合、歩き始めた。善光寺御開帳が残り10日ほどの週末とあって、参道はこの時間からにぎわっていた。


岩の上で広げた鯉焼き(右)と栄心堂のだんご(左)

 参道を東へそれて、城山小学校近くの「藤田九衛門商店」へ。たい焼きならぬ、ここにしかない「鯉(こい)焼き」の店だ。特別に早く店を開けてくれたのかと思ったが、毎日6時半に開店しているという。この日は「揚げ鯉焼き」を用意してもらい、リュックサックに入れた。

 寛慶寺の脇から善光寺の裏へ。地附山へ真っすぐ延びる道を「善光寺北参道」という。道がカーブし、上り坂が始まる辺りに「さくらざか栄心堂」がある。

 市内に3店舗あり、デパートやスーパーにも卸している長野市民におなじみの和菓子店は、ここが本店。創業58年。やはり善光寺参拝客のために朝は4時半ごろから作り始め、早朝から開いている。だんご、餅、大福などがあり、一番人気は「そば揚げだんご」だ。


岩の上からの眺望

 栄心堂を出て、急坂の車道をぐんぐん登ると、市街地が下に見えるようになる。展望道路の最高地点に近い霊山(りょうざん)寺が、物見の岩への入り口だ。

 同寺はかつて霊仙寺湖の近くにあった。武田軍に滅ぼされて長沼に逃れ、大正時代に現在地に移ったという。本堂の脇を通って墓地を抜けると、人一人の幅の山道になる。10分もかからずに、林の中に垂直にそそり立つ巨大な岩のかたまりが現れた。

 岩には所々にロッククライミング用のボルトが付いている。県警山岳救助隊もここで訓練しているのだという。

 岩登りはできないので、脇の山道へ遠回りして岩の上に出た。ごつごつした岩の中で、さらに3メートルほどの高さに円柱状の岩が飛び出ている。岩と松の間から、南と西側に眺望が開けている。手前に善光寺と市街地、奥は松代までよく見えた。西にはすぐ近くに旭山があり、尾根が安茂里に延びている。

 上杉謙信もここに立ったのか–と感慨にひたりつつ、鯉焼きとだんごを広げ、幸せな気分で味わった。

 竹内大介


2022面7月9日号掲載