カメムシによる被害の増加
- 4月26日
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理由の一つが「気温」 発生時期の長期化も

「気象予報ムシ」の連載が始まって間もなく4年。周りから虫の話を教えてもらうことも増えました。
昨年多かったのが「カメムシが増えて困る」というものでしたが、皆さんの近くでも異常を感じましたか。
特に顕著だったのが果樹カメムシによる被害です。汁を吸われた果物は、凹んで形が悪くなり、商品としての価値が大きく下がってしまいます。
カメムシによる果樹被害が増えたのは1970年代以降といわれ、被害の増加には、花粉症の広がりと同じ背景があります。戦後に植えられたスギやヒノキが成熟し、カメムシのエサとなる実が増えたことが原因とされているのです。
そして、被害増加のもう一つの理由が「気温」です。
カメムシは寒さに弱いため、本来冬を越すのが難しいのですが、最近は暖冬により、以前より多く生き残るようになっています。
さらに春以降の気温が高いと、カメムシの活動が活発になり、発生時期が長期化したり、発生量の増加につながったりするそうです。
今後、カメムシの異常発生が当たり前になってくるかもしれません。
昨年の日本の平均気温は1898年の統計開始以降で最も高くなり、2年連続で記録を更新しました。
気象庁が先々の予報として出しているのが長期予報です。よく聞くのが「1カ月予報」と「3カ月予報」だと思いますが、一年に1度しか発表されない「暖候期予報」と「寒候期予報」もあります。夏(6〜8月)の暖候期予報は毎年2月25日ごろ、冬(12〜2月)の寒候期予報は9月25日ごろに発表されます。気温や降水量などの大まかな傾向を早めに知ることができ、農作業などに生かすことができます。
今年も夏にかけて高温傾向です。加速する地球温暖化を直視し、今を生きる私たちに何ができるのかを本気で考えなくてはいけません。
(気象予報士・防災士)
2025年4月26日号掲載