top of page

泉水・泉水路の存続へ「守る会」活動

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

松代の歴史的な街並みを形成

「長峯氏庭園」から「大木氏庭園」に続くセギ(長峯さん宅)の泥上げや草刈りなど整備作業をする「守る会」のメンバー=7月4日
「長峯氏庭園」から「大木氏庭園」に続くセギ(長峯さん宅)の泥上げや草刈りなど整備作業をする「守る会」のメンバー=7月4日
所有者だけでなく地域一体となって

 江戸時代、真田10万石の城下町であった松代には、国の登録記念物の指定を受けた「泉水(せんすい)」(庭池)と「泉水路」でつながる庭園群がある。これだけの規模で泉水や泉水路が残存するのは全国でも松代だけだ。泉水や泉水路を所有する人たちを中心に2024年1月結成された「松代の泉水・泉水路を守る会」(内山国男会長、117人)は、「全国に誇る松代の歴史的景観を所有者だけでなく地域一体となり、守り伝えていこう」と活動している。


 「泉水」は、かつての武家屋敷の庭園の中央に配置される。各屋敷の泉水は「泉水路」と呼ばれる石積みの小さな水路でつながれている。泉水は、庭園景観の中心としての観賞目的以外にも、防火用水や畑などへの水やり、冬の融雪、(養)(よう)(鯉)(り)など生活に密着して利用されてきた。


6月20日開催の第3回松代の泉水・泉水路を守る会総会
6月20日開催の第3回松代の泉水・泉水路を守る会総会

 松代地区竹山町の長峯千文さん(72)宅でこのほど、守る会の7人が、同家の畑を流れるセギの清掃作業を行い、泥上げと草刈り作業に汗を流した。作業が終わり、繁茂したセリやハンゲショウなどが取り除かれてきれいに回復したセギを前にした長峯さんは「個人のものだからと言われればそれまで。自分たちで作業するほかなかったけれど、現実には年々管理が難しくなっている。こんなふうに助けてもらえれば本当にありがたい」とメンバーらに感謝した。


 11年の信州大学農学部の調査では、松代地区内に185カ所の泉水を確認している。それらの大半は個人所有で、近年は所有者の高齢化や後継者不足などにより管理が困難になり、手放されたり、埋められたりするなど急速に失われている。こうした課題解決に向けて「守る会」は発足した。


神田川部会役員大木正行さん宅の泉水が国の登録記念物に登録されたことを示すプレート
神田川部会役員大木正行さん宅の泉水が国の登録記念物に登録されたことを示すプレート

 会員らは、水路網の水源地となる湧水池や川からの取水口の泥上げや草取りなどの作業を計画して行ってきた。昨年からは各戸の泉水や泉水路の整備作業にも取り組み、地元の子どもや学生たちにも参加してもらう機会も設ける。また、官民一体となって保存継承していけるようにと、国の重要文化的景観の選定に向けた活動にも力を入れる。


 今回の守る会の協力に長峯さんは「体が動くうちは『残さなきゃ』と思ってきたけれど、年を取ると理想ばかり追えなくなった。でも改めて『なくしてはいけない』と感じる」と話す。


長峯さん宅の泉水。2020年「長峯氏庭園」として国の登録記念物に
長峯さん宅の泉水。2020年「長峯氏庭園」として国の登録記念物に

 内山会長は「松代の歴史的な街並みを形成する泉水・泉水路の存続は各戸の力だけでは限界」としながら「泉水と泉水路を維持管理していくため、地域の人たちに理解してもらうとともに、支援と協力、行動をお願いしたい」と話した。


記事・写真 中村英美



2026年7月18日号フロント

 © weekly-nagano  All rights reserved.

bottom of page