介護者向けの「カフェ」2年目
- 7月4日
- 読了時間: 3分
篠ノ井の香福寺で滝沢さんと桜井さん

「あって良かった」と思われる場所に
年4回 手作り菓子、薬膳茶で振る舞う
「もう少しテリがほしいね」
「イチゴとクワの実のソースをかけたらどうだろう?」
「下に敷く葉はモミジ、それともクワにする?」
篠ノ井御幣川の寺院「香福寺」厨房での一こま。6月中旬、この寺の住職の妻滝沢久美子さんと、友人の桜井美穂さん=川中島町=は、こんなやりとりをしながら、開催が翌日に迫った「介護カフェ」で提供する菓子や薬膳茶などの準備に忙しく手を動かしていた。
2人は昨年6月から、介護中の人や介護を経験した人を中心に利用してもらう「介護カフェ」を寺の一角で始めた。年4回を計画し、今回6月の開催が6回目になる。
香福寺は、2019年秋の東日本台風で、床上まで水につかる浸水被害を受けた。この時に毎日数十人、延べ数百人ものボランティアが復旧作業に来てくれた。滝沢さんは「いつかこの恩返しができれば」と心に留めてきた。
その後、参加した寺庭婦人会の研修会で、家で家族などの介護をしている人たちのケアがまだまだ手薄であることを学んだ。これをきっかけに、復旧整備をしてきれいになった寺で介護者を対象にしたカフェを開きたいと構想。子どもが独立して自分の時間を誰かの役に立てたいと考えていた桜井さんの共感を得て、2人で「介護カフェ」を立ち上げることを決めた。
浄土宗が母体の「ともいき財団」の助成支援も受けられることになり、構想は一気に具体化、最初の開催にこぎつけた。
調理師免許を持つ2人は、それを生かして毎回手作りで季節に合わせた菓子と自家製薬膳茶を用意して振る舞っている。参加費として1人300円を設定する。
これまで5回の開催で訪ねてくれたのは市内を中心に30代から70代までの男女延べ約40人。今家族の介護をしている人をはじめ、介護していた母親を亡くし寂しさを紛らわせたくてという人、高齢の親と暮らしていて今後に備えたいという人などが参加。カフェタイムや居合わせた人たちと会話を楽しむなど、それぞれリラックスした時間を過ごしていく。
「毎回『また来ていいですか』や『次はいつですか』と、そんな言葉を聞けるのがうれしいし励みになる」と2人。「普段の生活のちょっとした切り替えに利用してもらえたら。一人でもここがあって良かったなって思える場所にできたらいい」と桜井さん。滝沢さんは「介護で動けなくなっている誰かに、こんな場所があることを知って、いつか足を運んでもらえるよう長く続けたい」と話した。
今年度は10月8日(木)と12月10日(木)の両日10時から16時半まで開く。
(問)同寺☎︎292・1610
記事・写真 中村英美
2026年7月4日号フロント



