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午年にかける

  • 2025年12月31日
  • 読了時間: 3分

人との出会い大切にして 人生ウマくいく

覆馬場で飛越練習をする選手に姿勢の指導をする佐藤さん(左)
覆馬場で飛越練習をする選手に姿勢の指導をする佐藤さん(左)
小川村で「馬事公苑」運営 「おうまのおっしゃん」佐藤正道さん

 2026年は午(うま)年。馬は力強く、前へ前へと勢いよく駆け抜けるところから「前進」「飛躍」「行動力」の象徴とされる。「何ごともウマくいき、幸運が駆け込んできて」と午年に期待も膨らむ。小川村高府で「明松寺馬事公苑」を運営し、地域の人たちから「おうまのおっしゃん」と親しまれる「明松寺」住職の佐藤正道さん(74)は馬にどんな思いを抱いているのだろうか。村役場から1.5キロほど、約200メートルを上がった標高700メートルにある馬事公苑に佐藤さんを訪ねた。


 馬事公苑は寺本堂を中心に周辺約3ヘクタールに広がる。ここに調教競技用馬場や天候に左右されずに練習できる屋根付きの覆馬場、厩舎、研修用建物、クロスカントリーコースなどが整備されている。


調教する佐藤さん
調教する佐藤さん

 佐藤さんが子どもの頃、この地域一帯では法事に住職が馬に乗って出かけるのが習わしだった。そんな中で自然に馬を乗りこなせるようになった。大学進学で上京。大学近くにあった東京馬事公苑でアルバイトをしたことをきっかけに、当時の日本馬術界の第一人者として知られた選手に2年間にわたって本格的な乗馬指導を受ける。帰郷後、僧侶となり、さらに技を磨きたいと一念発起。檀家にブルドーザーを借りて自ら山を切り開き、何年もかけて馬事公苑を造り上げた。


 1978年のやまびこ国体では2種目で優勝、80年にはモスクワ五輪のナショナルチームに選ばれるも、日本が出場をボイコットしたため五輪出場の夢はかなわなかった。


 しかし、この夢は3人の子どもたちが引き継ぐ。長男で副住職の賢希(けんき)さん(41)はロンドン大会、次男の英賢(えいけん)さん(39)は北京、東京、パリ大会に出場。長女の泰(たえ)さんも全国大会や国体などで優勝の経験を重ねた。現在、英賢さんはオランダで騎手として活動。馬事公苑は賢希さんと泰さんが中心となって運営。全国トップレベルの選手たちが練習する日本屈指の馬事公苑として知られるようになった。


 馬の世話を通じて青少年健全育成にも関わってきた佐藤さんは、 「馬の魅力の一つはものを言わないところ。人はなんでと聞くけれど馬は聞かないから」。不登校や障害のある子どもたちが馬に携わるうちに心を開いて頑張れるようになっていく姿を見てきた。


 午年にかけて「人との出会いを大切にすることが人生ウマくいくと思っている。これからも人との出会いを大切にしたい」と笑顔で話した。

 厩舎ではジュニアからシニアまで15人のクラブ員それぞれが所有する馬計約30頭を飼育する。競技専門の馬事公苑のため一般の体験乗馬などは行っていないが見学は自由にできる。


記事・写真 中村英美


2026年1月1日号フロント

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