ヴィヴァルディと私
- 2 日前
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=1時間50分
長野千石劇場(☎︎226・7665)で公開中

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
厳しい訓練課す師と 少女の運命の出会い
18世紀初頭のイタリア・ベネチア。孤児院にバイオリン教師として赴任してきた作曲家とそこで音楽の才能を開花させていく少女。「ヴィヴァルディと私」は、バロック音楽を代表する作曲家の一人アントニオ・ビバルディと孤独な少女との運命の出会いを名曲とともに描いた人間ドラマだ。
ベネチアの孤児院「ピエタ院」では、資金調達の一つとして音楽に秀でた少女たちによる「合奏・合唱の娘たち」のコンサートを開いていた。ピエタ院から出るには貴族に望まれて結婚するか、まれに親が迎えにくるかの選択肢しかない少女たちは、コンサートホールの隙間からのぞくわずかな世界に憧れを抱くのだった。
バイオリン教師として赴任してきた25歳の司祭ビバルディは、ほかの院との競争に勝つために少女たちに厳しい訓練を課す。その中でビバルディの目に留まったのは、訓練に必死に食いついてくるチェチリアだった。チェチリアは才能を開花させ超絶技巧ぶりを発揮し、オーケストラもまた賞賛され、多くの貴族諸侯や知識人たちを魅了していった。
愛弟子チェチリアとの出会いはビバルディ自身の運命も大きく変えていく。
バイオリニストであり、作曲家、音楽教師、オペラ作曲家としても活躍したビバルディは、この時期に代表作の「四季」やオラトリオ(聖譚曲)「勝利のユディータ」などを作曲。これらは劇中音楽として画面を彩っている。
実は不思議なことに没後200年にわたり名曲の存在が忘れ去られ、20世紀になり偶然発見された自筆譜により才能を再評価されたという事実に驚かされる。
髪の色から「赤の司祭」という異名をとっていたというビバルディ。人前で素顔を見せてはならない少女たちの赤い仮面とドレス姿が神秘的で心を奪われる。印象的な映像美を生み出したダミアーノ・ミキエレット監督はオペラ演出家で、今年開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックの開・閉会式のクリエーティブディレクターを務めている。ベネチア出身だけに、水の都の刻々と変化する表情を余すことなく捉え、物語に深みを与えている。
狂おしいほどの愛と名誉、そして自由な人生への渇望の物語だ。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年5月23日号掲載



