プライベート・ケース
- 1 日前
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=1時間47分
長野千石劇場(☎︎226・7665)で公開中

(C)LES FILMS VELVET - BUENOS HAIR - FRANCE 3 CINEMA
患者は自殺か他殺か 深層心理の光と闇とは
患者の突然の死を知った精神分析医。患者は自殺ではなく、他殺ではないのか。「プライベート・ケース」は、患者の死因を疑った精神分析医の内面を通して人間の深層心理に隠された光と闇を描いた心理サスペンスだ。
パリで暮らす精神分析医のアメリカ人医師リリアン(ジョディ・フォスター)は、9年間診察してきた患者ポーラが、予兆もなく突然自殺したことに不信感を抱く。しかも故人をしのぶ会を訪れたリリアンを、ポーラの夫シモン(マチュー・アマルリック)は激しく罵倒し、娘のヴァレリーも診療内容を聞き出そうと執拗にリリアンの元を訪れる。言い知れぬ罪悪感に動揺しながらも、遺族の様子からポーラは殺されたのではないかと疑ったリリアンは、元夫のガブリエル(ダニエル・オートゥイユ)とともに調べ始めるが、身の回りに怪しい出来事が起き始める。
リリアンはフランス人のガブリエルと結婚し、息子ジュリアンが生まれるが離婚した。頑ななまでの医師としての矜持、息子とのぎくしゃくとした関係。夫はどうして妻の元を去ったのか。患者の死の真相を探るうちに浮き彫りになってきたのは、リリアンの潜在意識に潜んでいた記憶だった。
ヒッチコックばりの緊迫感に満ちたサスペンス映画であるが、相棒となった元夫との掛け合いがユーモラスで温かい空気を醸し出す。エスプリに富んだ脚本を手掛けたのは女性心理を鋭く切り取ることに定評のあるレベッカ・ズロトヴスキ監督。脚本が出演の決めてだったと語るジョディ・フォスターは、2度のアカデミー賞主演女優賞に輝く演技派で才媛として知られているが、全編流ちょうなフランス語で演じているのも驚きだ。
揺るがない信念を持つ医師としての知的な顔から、次第にさらけだされる人としての弱さともろさをチャーミングに演じるジョディ・フォスターの年齢を重ねた魅力が光る。謎を秘めたポーラ役を「急に具合が悪くなる」で主演女優賞を受賞したヴィルジニー・エフィラが演じるなど、フランスの名優たちが脇を固めているのも見逃せない。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年7月25日掲載



