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27 岡学園75周年

  • 2025年7月26日
  • 読了時間: 3分

母100歳の誕生日も祝う 長寿の秘訣「学生の成長」

岡久子先生100歳をお祝いする会
岡久子先生100歳をお祝いする会

 岡学園の創立70周年とともに新校舎の増設や二つの新学科、コースの開設など、私は「エコマコ」をゼロから立ち上げてきたビジネス経験や、大きな組織の院長としての運営経験などを生かし、新たなことにチャレンジしていきました。その中でも現場教育を重視し、学生たちの個性を引き出すために積み重ねてきた【産官学連携】の実績を県知事にもご覧いただき、2016年には専門学校として初となる長野県との「デザインにおける包括連携協定」を結ばせていただきました。18年には県商工会議所連合会と、その翌年には長野市とも連携協定を結ばせていただき「長野をデザインであふれる街へ」を合言葉に、皆さまの協力とともに、学生たち一人一人の活躍の場を広げていきました。


 一方、仕事で飛び回ってばかりの生活が長く、母とゆっくり話をする時間すら持てずにきた私にとって、96歳となった母の体を心配して病院に行く時間や、母娘で一緒に夕食を食べながらたわいもない昔話をする時間は、何か心がホッとするありがたい時間ともなりました。


 当時ドレメの院長として長野と東京を行き来していた時は、「私の留守中に母に万が一のことがあったら…私はずっと後悔が残る。どうか100歳を超えるまでは何事もなく元気でいてくれるように」と、いつも寝る前に祈っていたことを思い出します。


長野県立美術館My SDGs展の様子
長野県立美術館My SDGs展の様子

 そして21年、母が100歳を迎えたちょうどその年、県信濃美術館を全面改築して、新たに「長野県立美術館」がオープンしました。私はここが、県民がアートを身近に感じられる参加型の美術館になっていくことをとてもうれしく思いました。そして、県立美術館のこけら落としの展覧会のひとつとして、地下の「しなのギャラリー」で、岡学園主催の企画展「My SDGs展〜デザインが未来を変える」を企画、開催させていただいたのです。本校の学生たちの作品をはじめ県内の高校生や若手デザイナーらが手がけた作品合わせて200点余りを展示。期間中訪れた5千人を超える人たちが、アート作品を通じて身近にSDGs(持続可能な開発目標)を感じてもらえる機会になったと思います。


 そしてこの時、岡学園75周年のオープニングパーティーもギャラリー隣のホールで開いたのですが、ちょうど4月に100歳になった母の誕生日も合わせて皆さんに祝っていただきました。車いすで会場を訪れていた母は、頂いたお祝いのお花に囲まれ、卒業生をはじめ多くの方々から「大先生、これからも長生きしてくださいね」と握手をしたり、一緒に記念の写真を撮り合ったりと、とても幸せそうでした。しかしその後、母は心臓機能の衰えから浮腫が増し数日間入院。胸水を抜くなどの治療はしたものの、徐々に体力が落ちていくことは仕方のないことでした。


 その年の秋、敬老の日のお祝いに来てくださった加藤前市長から、国、県、市と三種の長寿を祝う立派な賞状を授与されました。さらにいつもの元気玉パワーを「エイ、エイ、ヤー!」と頂くなど、良き思い出もつくっていただきました。


 記者から「久子先生、長寿の秘訣は何ですか」と質問された際「そうですね…学生たちの成長ですかね」と答えた母。その言葉には25歳で学校を立ち上げてから75年間…。学生たちに「手に職を」と自立を願い続けた教育者としての思いと喜びが、今もエネルギーになっていることを教えてくれました。そして「学生たちの成長」を願う気持ちは、この岡学園がずっと引き継いでいくかけがえのないものとなりました。

(聞き書き・中村英美)


2025年7月26日号掲載

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