暑さに強いサハラギンアリ
- 7月26日
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毛の断面は三角形 太陽の光90%反射

アフリカのサハラ砂漠には「サハラギンアリ」というアリが生息しています。地上で最も暑さに強い生物といわれ、地表面温度が70度に達する時でも、餌を探して動くことができます。
この驚くべき行動を可能にしている理由は二つあります。一つは体毛の形です。私たち人間の毛髪の断面は円形や楕円(だえん)形ですが、サハラギンアリの毛の断面は三角形になっています。この形が太陽の光をよく反射する仕組みになっていて、研究によると、90%の光を反射しているのだそうです。
二つ目は独特の走り方です。いくら暑さに強いといってもサハラギンアリが耐えられる時間は10分以内とされ、その間に餌を巣に持ち帰らなければなりません。このため、足を上下に素早く動かし、砂に触れる時間を最小限にする走り方をします。なんと、1秒間に体長の108倍もの距離を進むことができるのだそうで、人間に換算すると100メートルを1秒もかからず走る計算になります。なんだかすごい話ですよね。
到底まねできない私たちは、自分たちでしっかりと対策をして熱中症になるのを防ぐしかありません。
熱中症による死者は年々増加しており、昨年は初めて全国で2000人を超えたとみられています。年間の死者数は1990年代前半までは2桁台が多かったことを考えると、ここ数年で急激に増加した印象があります。
最近では「時間差熱中症」という言葉も聞かれるようになりました。これは、暑い場所にいる時ではなく、涼しい場所に移動してしばらくたってから体調が悪化するというもので、熱中症の症状は時間をおいて現れることもあるのです。
今年も9月にかけて、最高気温が30度を超える日が続きそうです。「なんだか調子が悪いな」と少しでも異変を感じたら、熱中症を疑い、早めの対応を心がけてください。
(気象予報士・防災士)
2025年7月26日号掲載