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プログラミング制作目的に北海道旅行

  • 7月26日
  • 読了時間: 3分

児童養護施設「松代福祉寮」の子どもたち

タブレット型端末で遊ぶ子どもと山越さん(右)
タブレット型端末で遊ぶ子どもと山越さん(右)
長野市のNPO法人企画 28日出発

世界をより広く深く知って 体験少なくなりがちな子どもにこそ

 ICT(情報通信技術)を活用した学習支援を児童養護施設などで行っている長野市のNPO法人「ITサポート銀のかささぎ」は7月28日(月)から、児童養護施設「松代福祉寮」(松代町東条)の子どもたちと、プログラミング制作を目的とした北海道体験旅行に出かける。家庭で暮らす子よりも社会体験の機会が少なくなりがちな児童養護施設の子どもたちのために、リアルな体験とプログラミング教育を掛け合わせた取り組みをしようと初めて企画した。


 7月8日、「松代福祉寮」を訪れた同法人理事長の山越久美子さん(62)らは、子どもたちに北海道旅行のしおりを手渡した。旅行では、子どもたちが自分の目で見て体験したものを写真や動画に撮り、その素材を使って観光案内をプログラミング制作する。参加するのは小学生から高校生までの10人。同法人スタッフと同施設の職員と共に飛行機で北海道に向かい、札幌市時計台や、北広島市の野球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」、小樽市の「おたる水族館」などを2泊3日の日程で訪問する予定。小学4年生の女の子は「夜景とおいしいものの写真を撮りたい」と、声を弾ませた。


 山越さんは2012年、子ども虐待の専門家の話を聞いて共感し、児童相談所の一時保護所の子どもたちのための学習支援ボランティアのグループを立ち上げた。つながりのあった東京の学生たちとの活動だったため東京でスタート。「ボランティアで終わらせてはいけない」という思いを強くし、13年に長野市でNPO法人を設立。現在は県内4カ所と東京1カ所の児童養護施設などを定期的に訪問し、タブレット型端末の学習アプリを使った学習支援を行い、学びの機会を提供。松代福祉寮で学習支援を始めて10年以上になる。


 山越さんは「プログラミングで好きなことをすればいいと言われても、体験をしていなければ自分の好きなことが何かさえ分かりません。世界をより広く深く知るために体験は必要です」と話す。児童養護施設の子どもたちはさまざまな事情から家族と離れて暮らしている。一時的に家庭に帰れる状況にある子とそうでない子がいる。今回の参加者は、プログラミング学習を経験してきた子の中でも、家庭に帰ることができず体験機会が少ない子を選んだ。同施設の施設長の宮下孝子さんは、「ただ体験して楽しかったというだけでなく、一つのものをつくり上げるプログラミングの力を身に付けられる機会。子どもの視点でいろいろなものを見てきてほしい」と期待する。


 8月から観光案内の制作を進め、来年1月ころから専用のウェブサイトで完成作品を公開する予定。来年度以降も同事業を続けるための資金面の支援者を募集している。

 (問)ITサポート銀のかささぎ(メール)info@i-kasasagi.com


記事・写真 松井明子


2025年7月26日号フロント

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