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サカダチゴミムシダマシ

わずかな水分求めて 砂漠で霧の朝「逆立ち」

 世界には100万を超える種類の虫がいて、中にはアフリカの砂漠に生息しているものもいます。

 極端な暑さや寒さ、乾燥といった、過酷な砂漠地帯で生きているのが「サカダチゴミムシダマシ」です。この虫は生きていくために必要な「水」を、ある方法で生み出しています。

 それが、「霧の朝の逆立ち」です。霧が広がる中、頭を下に向けて何時間も逆立ちをすることで、体についた水滴が自然と口の中に流れ込むそうです。

 霧が出るのは、海岸に近い砂漠ではほぼ毎日ですが、海岸から50キロ離れた場所では何日かに1日程度です。わずかな水分を得るために涙ぐましい努力をしているのです。

 一方、日本で霧が現れる頻度は昔に比べて大幅に減っています。長野でも50年ほど前は1年に30日くらい発生していましたが、今ではその3分の1以下です。これは東京や大阪など、大都市ほど顕著な傾向にあります。

 原因の一つが、建物や道路が増えたためといわれています。水の循環に欠かせない森や土が減ったことで霧が発生しづらくなっているのです。ただ、都市化だけでは説明がつかない部分もあり、はっきりとした原因は分かっていないようです。

 長野で霧が多く発生するのは、11月から12月にかけてで、その多くが「放射霧」です。風が弱く、晴れた夜には、地面の熱がどんどん空に逃げていくため、地表付近の温度が下がります。気温が下がることで、空気中に含むことができなくなった水蒸気が霧となって現れるのです。特に雨が降ったあとは水蒸気の量が多いため、霧が濃くなります。

 濃霧が予想される朝には早めに家を出て、車で出かけるときは車間距離を十分に取り、スピードを落として慎重な運転を心がけてください。

 気象予報士・防災士


2023年11月25日掲載

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