top of page


118 信州シルクロード10 大笹街道
米国まで夢広げた油街道 浅間山の 北の根にある 六里が原 六里にあまる 枯薄(かれすすき)の原 若山牧水 旅の歌人若山牧水が浅間山の北側、火山活動で造り出された広大な六里が原を歩いた折の歌だ。群馬県嬬恋村と長野原町にかけ東西20キロ余り、六里に及ぶ草原や荒地である。...


117 信州シルクロード9 生糸と茶と
隣接県と巨大な産地構成 中井侍茶摘唄 三国境の 天竜川こえた 風が送るよ 茶の香り グリーンベルトの 段々畑 霧と人情 まろやかに JR飯田線の魅力の一つは秘境駅にある。あれもあります、これもあります—と宣伝するのが普通の観光地なのに、秘境駅には何もない。強いて言えば不便さ...


116 信州シルクロード8 川と街道
舟と馬組み合わせた輸送 上伊那地理歴史唱歌 流れてとうとう いさましや 天竜川の 水の音 聳(そび)えてこうこう いさぎよし 両駒ケ岳の 雪の色 帆いっぱいに風を受け、舟が川をさかのぼる。流れに任せ下っていく。鉄道が普及する以前、日本各地で珍しくない光景だった。信州シルクロ...


特集 祈りの道に切り開かれた信州シルクロード
新たな年のスタートに当たり、この先一年の平穏な暮らしを願う。 初詣の人波に加わっていると、いつも感ずることがある。車で電車で徒歩で人それぞれにやって来た四方八方の道—。それは今現在の躍動する場であると同時に、遠い過去につながる道でもある、ということだ。...


115 信州シルクロード7 秋葉山常夜灯
立派な装い 心遣い息づき 森の横町 なぜ日が照らぬ 秋葉道者(どうしゃ)の 笠のかげ 秋葉街道を往来する人のにぎわいを、七・七・七・五の26音でうたっている。都々逸などと同様に、庶民の間で広く親しまれ、口ずさまれた俗謡だ。...


114 信州シルクロード6 遠州森町
古着ファッションを先導 秋葉路や 花橘も茶の香り 流れも清き 太田川 若鮎躍る 頃となり 松の緑も 色さえて 遠州森町 よい茶の出どこ 娘やりたや お茶摘みに 南アルプス沿いに秋葉街道は南下していく。信州・遠州の境、青崩峠を越えて標高が下がり、谷筋が平野へと差し掛かると、古...


113 信州シルクロード05 秋葉街道
塩の道・石の道・絹の道… 民謡「絵島節」 絵島ゆえにこそ 門に立ち暮らす 見せてたもれよ 面影を 恋の罪人 絵島が墓の 里に来て鳴く 秋の虫 江戸時代半ば、幕府を揺さぶった大奥の大スキャンダル、絵島生島事件にちなむ盆踊り唄だ。大年寄として権勢を誇った絵島が信州高遠へ〈恋の罪...


112 信州シルクロード04 絹の道
精神活動と文化が豊かに 路(みち)とは何か? それは路のないところを踏み歩いてできたものである。 荊棘(いばら)ばかりのところを伐(き)りひらいてできたものである。 魯迅 シルクロード、絹の道とは何か—。答えのヒントになる貴重な言葉の一つだ。小説「阿Q正伝」などで知られ、...


111 信州シルクロード03 信越本線に吉田駅
須坂の製糸業 一段と弾み 古里や足地につかぬ五月晴れ 茂呂何丸(もろなにまる) 長野市街地の北東に位置する吉田地区には、かつて「吉田」の名を付けた鉄道の駅が二つあった。一つは、今と同じ長野電鉄長野線の信濃吉田駅だ。 もう一つは、国鉄時代の信越本線吉田駅である。こちらは195...


110 信州シルクロード02 和田峠越え
明治期 生糸輸出の動脈に 地理教育鉄道唱歌 第四集北陸編 24番 諏訪の湖水をみる人は 大屋をおりて和田峠 こゆれば五里の道ぞかし 山には馬も駕籠もあり 長野県歌「信濃の国」が発表された1900(明治33)年、〈汽笛一声新橋を〉で始まる鉄道唱歌も登場した。この第1集東海道...


109 信州シルクロード01
山腹のオアシス 絹を生む里がこつぜんと 諏訪大社下社 御柱木遣り ヤアー 山の神様 お願いだー ヤアー ここは木落とし お願いだー ヤアー 心合わせて お願いだー 長丁場の諏訪大社御柱祭には、幾つか見せ場がある。男たちが度胸を試し、見物人もハラハラドキドキの場面といえば、1...


108 糸の村・糸の町35 柳田国男の貢献
「小さな力を大きく」と説く 小さな力をまとめて大きな力にするのが産業組合だ。この組合が連合すれば、更に大きくなり、大きな仕事ができるようになり、大きな利益を生む。 柳田国男 「日本民俗学の父」とも称される柳田国男(1875〜1962年)である。大学を卒業と同時に農政官僚とな...


107 糸の村・糸の町34 恐慌下の農村
繭価暴落 若者は病み疲れ 農山村 労(つか)れはてて遠き工場よりかへり来し房江はあはれ血を喀(は)きにけり 山村生活断片 選抜試験に落ちて工場へ行けざりし彼の娘は日毎蝗(いなご)取りゐる 金田千鶴 昭和恐慌のさなか、下伊那郡泰阜村で詠まれた歌だ。小題「農山村」は1930(...


106 糸の村・糸の町33 下伊那の産業組合
発電・医療分野まで幅広く 糸繰る乙女 丘にや 工場の煙が立って 村の製糸の 笛が鳴る ヤンレ 協同の旗印 さんさ日は照る 工場の窓に 湯気に乙女の 心がほてる ヤンレ 話せぬ胸の中 蚕糸業を不況の暴風にさらした1930(昭和5)年の恐慌。2年後の満州国建国、そして日中戦争、...


105 糸の村・糸の町32 竜水社
組合製糸の連合で強化 東ゃ高烏谷(たかずや) 西ゃ駒ケ岳 間(あい)に生まれた 竜水社 農家同士の 組合製糸 とれた生糸の 艶のよさ 「伊那節」より 農民自らの組合製糸といえば、長野県内では上伊那の竜水社、下伊那の天竜社が代表格だ。民謡「伊那節」の数ある歌詞の一節が、竜水...


103 糸の村・糸の町30 信濃絹糸
くず繭を宝の山に生かす 丸子小唄 土谷泉石作歌 作曲 (二) 丸子よいとこ 来てみやしゃんせ イト キイト サノ サ 並ぶ煙突 はく煙 イトサ イト キイト サノヨイヤサ イトサッサッサ “糸の町”丸子を全国的に特色付ける一つに、絹紡糸の製造があった。生糸にはできない「くず...


104 糸の村・糸の町31 伊那谷の組合製糸
農民主体の産業組合構想 春繭(はるまゆ)の 安きを妻となげきつつ のぞみうすくも 夏蚕(なつご)飼ふなり 下市田 岡 のぼる 苦労して収穫にこぎ着けた繭が、思うような値段で売れない養蚕農家の嘆きだ。昭和の初期、1930年前後に、下伊那郡下の青年たちの間で文芸誌が数多く発行さ...


102 糸の村・糸の町29 丸子・依田社
米国との連携を密に躍進 丸子小唄 土谷泉石作歌 作曲 (一) 世界へ 世界相手の 商工業は イト キイト サノ サ 製糸事業が 第一よ 第一よ イトサ イト キイト サノヨイヤサ イトサッサッサ 上田市の東寄り、しなの鉄道大屋駅前から千曲川を越え、支流の依田川沿いを行く。す...
bottom of page
