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60 ナッジ 望ましい行動促す仕掛け
行動経済学は、本連載で紹介したように、人間が不合理な行動を行ってしまう原因やパターンを数多く発見しました。 これらを知っておけば、人は誤った行動や選択を避けることができます。「(誤った行動・選択による)マイナスの状態が避けられ、ゼロの状態を維持する」ことが可能になるわけです...
59 ピグマリオン効果 期待されると成績が向上
人は周囲からの見られ方や働きかけに対して、敏感に反応するものです。 その例として連載55回で「ラベリング効果」を紹介しました。 これは人が、自分の態度や性格に関して、周囲から貼られたレッテルに合わせて行動する傾向です。「女の子らしい」とラベリングされるとおしとやかな振る舞い...
58 アンダードッグ効果 「判官びいき」の心理現象
小学校の徒競走やマラソンで、最後尾で走る子どもたちの姿を見ていたら無意識に拍手や声援を送って応援していたという経験はありませんか。 これは「アンダードッグ効果」の影響です。劣勢または不利な立場の側を応援したくなる心理現象です。日本に古くからある「判官びいき」と同じ意味です。...
57 ウィンザー効果 何より「第三者の褒め言葉」
1980年前後生まれ以降の人々を「デジタルネーティブ」と呼ぶことがあります。 学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境で育ってきた世代です。彼らは、ネットで情報を得るのが当たり前です。例えば商品を買う時、デジタルネーティブは、ネットの口コミ情報を自然に利用します。...
56 計画錯誤 計画通り終わらないのは
夏休みと聞くと、新学期の登校日が近いのに宿題が終わっていないときの焦りと不安を思い出しませんか。 「どうして最初からきちんと計画を立てて、その通りやらなかったんだ」と親に怒られた人もいることでしょう。 しかし、この「計画を立てた通りに実行する」という行為は簡単ではありません...
55 ラべリング効果 レッテルに合わせて行動
前回は血液型性格診断を例に、誰にでも該当する一般的な性格や特徴が自分に当てはまると思ってしまう「バーナム効果」を紹介しました。 A型は真面目、B型はマイペースなどと示されると、自分にあてはまると思い込むのです。 実は人間は、こうしたかたちで認識した自分の性格や特徴に対し、思...
54 バーナム効果 「自分に当てはまる」と捉え
血液型によって性格が異なるという説を信じている人は多いことでしょう。 「真面目なA型」「マイペースなB型」「バイタリティーがあるO型」「合理的に考えるAB型」といった具合です。 これが広まった発端は、1971年ごろにベストセラーとなった「血液型人間学」に関する能見正比古さん...
53 フォールスコンセンサス効果 他の人々と同じだと錯覚
前回紹介した「スポットライト効果」は、自分が実際以上に他人から注目されているという錯覚でした。 それとは逆に、自分が特別ではなく、他の人々と同じだと錯覚する傾向もあります。これは「フォールスコンセンサス(偽の合意)効果」と呼ばれます。...
52 スポットライト効果 注目されたと思い込み…
イメチェンをしようと髪型を変えたのに、職場や学校で注目されず不満に思った経験はありませんか。 自分自身の変化が、自分が意識しているほどには他人に伝わらない原因は「スポットライト効果」にあります。 これは、自分が実際以上に他から注目されていると錯覚してしまう心理です。この影響...
51 イケア効果 自分で作った物は高く評価
スウェーデンの世界的な家具大手「イケア(IKEA)」は、日本国内にも10以上の店舗を展開しています。 近くに店舗のない長野の読者にはなじみが薄いかもしれませんが、比較的安価でデザインが現代的な上、購入者が持ち帰って組み立てるオリジナル家具を多数取りそろえているのが人気の理由...
50 ツァイガルニク効果 中断した事柄に強い興味
「テレビCMを見ていると、最後に「続きはウェブで」という言葉をよく聞きませんか。 実際、ネットにアクセスすると、CM商品をより詳しく知ることができます。 続きをウェブで見たくなるのは「ツァイガルニク効果」の影響です。これは人間が、達成できなかった事柄や中断した事柄のほうを、...
49 コントロール幻想 「自分は晴れ男」と思い込む
「晴れ男」「晴れ女」と自称する人がいます。 冷静に考えれば、人間が自然現象を左右できるはずはないのですが、大切な日に願った通りの晴れになった経験が重なると、自分には天気をコントロールできる力があるかのように思い込むのでしょう。...
48 スノッブ効果 人と異なる自分でいたい
数量限定、期間限定、地域限定といった「限定もの」を見ると買いたくなりませんか。 それは、他人の持っていない希少なものに価値を感じるためです。この心理を「スノッブ効果」と呼びます。「スノッブ」は「俗物的」「上流気取り」といった意味です。...
47 ヴェブレン効果 高価だから買いたくなる
中国人団体ツアーによる「爆買い」が注目されたのは2010年代半ばごろのことです。この言葉は、2015年の流行語大賞にも選ばれました。 日本人もかつて、バブル景気に沸いた1980年代後半〜90年代初頭、欧米に旅行し、ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネルなど高級ファッションブラン...
46 上昇選好 下降しないから気分良く
日米通算28シーズンをプレーし、2019年に45歳で引退したイチロー選手の通算安打数4367本はギネス認定の世界記録です。 彼のような打者を評価する指標として、最も一般的なのは「打率(=通算安打数÷打数)」です。 プロ野球では年間の打率トップの打者を「首位打者」と呼び、イチ...
45 バンドワゴン効果 「時流に乗りたい」心理から
一般にあまり知られていませんが、ファッションなどにおける「色」の流行は、自然発生的なものではありません。 「一般社団法人 日本流行色協会」が中心になって、有識者と会議などを行い、毎年の流行色を決めています。その発表後にアパレルメーカーなどが、その流行色を使った商品を発売しま...
44 確実性効果 絶対的なことに過剰反応
新型コロナウイルスの流行、地球温暖化に伴う気候変動や異常気象、台風災害や大規模地震など、予期せぬ事象がたびたび起きる今日は「不確実」な時代です。 人間の心理はというと、確実性を重視し、完璧さを求める働きがあります。これを行動経済学では「確実性効果」と呼びます。...
43 保険文脈 「保険」の言葉で変わる選択
突然ですが質問です。次のどちらを選びますか。(1)「100%の可能性で千円を失う」(2)「1%の可能性で10万円を失うが、99%の可能性で何も損失が出ない」。 確実に千円損失する(1)より、損失の確率が1%程度と低い(2)を選ぶ人が多いという結果が出ています。...
42 感応度逓減性 お金の損得に[慣れ]の心理
人間には環境や外部からの刺激に対応する能力があります。 これは「順応」と呼ばれ、明るさや暗さに対する慣れや、匂いや味への慣れがそうです。 実はお金の損と得においても同じような慣れが生まれます。例えば無一文の時に1万円をもらえたら喜びは大きいはずです。しかし既に10万円もらっ...
41 反転効果 「得」の状況ではより安全に
追い込まれて破れかぶれになり、イチかバチかの賭けをする「最終レース効果」の心理を前回、解説しました。 人は損している状態に冷静でいられず挽回に向けて賭けに出ます。 では、得している状態なら冷静に判断できるのかというと、そうでもありません。人は得をしているとリスクを避け、過剰...
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