飯綱町のリンゴ染めで仕上げたデニムのパンツ
- 3月22日
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パリのファッションショーでお披露目

格好良く 輝いて見えた
「こんな素晴らしい場所で飯綱町のリンゴ染めをPRできて誇らしい気持ちになった」
3月9日、フランス・パリで開かれたファッションショー会場でリンゴ染めパンツ3点がお披露目された時の心境を、飯綱町地域おこし協力隊の原口光雄さん(33)=飯綱町=は、興奮冷めやらない様子で振り返った。
東京都出身の原口さんは、2023年5月から町地域おこし協力隊員として着任。いいづなアップルミュージアムの学芸員として活動してきた。同施設のリンゴ栽培を経験する中で、剪定(せんてい)した枝や老木、摘果した実や傷んだ実などたくさんの農業廃棄物が出ることを知った。原口さんは「これらに新しい価値を生み出せないか」と考えた。

同町では、住民グループ「苹果(ピンゴ)染グループ」(佐藤アツ子代表、6人)が約40年にわたって、リンゴの木の皮を用いるリンゴ染めに取り組んでいる。
原口さんは、妻の麻希さん(33)を介して知り合った服飾ブランド「再倖築」(さいこうちく)のデザイナーにリンゴ染めを紹介したところ、ブランド理念と共通するとして採用されることになった。
苹果染グループは2月、「再倖築」から届いたパリで発表するショー衣装のデニムパンツの染色作業を行った。グループがデニム地を染めるのはこの時が初めて。メンバーはどんな色になるのか、固唾(かたず)をのんで見守った。

本番で発表する作品を染めた苹果染グループの宮本久子さん(88)は、「労働の歴史がある使い古したデニム生地が、リンゴ染めの色をかぶるとこんなに豊かな表情が出ることに驚いた」と作業を振り返る。パリのファッションショーを見届けた原口さんが現地から送ってくれた写真を見て「パリのファッションショーだなんて想像もつかなかったけれど格好良く、輝いて見えた」と喜んだ。
原口さんは、「『日本一のりんごの町』を掲げる飯綱町の知名度アップに貢献できたらうれしい」と笑顔で話した。
今年秋には、住民への還元を目的に「いいづなアップルミュージアム」でパリのショーで発表された衣装のランウエーショーの開催を計画している。
記事 中村英美
2025年3月22日号フロント