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生成AI活用し業務効率化5472時間

  • 7 日前
  • 読了時間: 3分

長野市民病院が実証

生成AIを活用したシステムを使って作業する草野上席副院長
生成AIを活用したシステムを使って作業する草野上席副院長
看護師現場の情報一覧化・要約など

医療の質と生産性の両立図る

 長野市民病院(富竹)は、病院内で運用する生成AI(人工知能)アシスタントの活用により、年間5472時間の業務効率化効果を実証した。医療現場の人手不足が深刻化する中、同院は医療者が「患者との時間」により多くの時間を充てられる環境づくりを進めている。病院のDX(デジタル技術による変革)を推進する「チームデジタル2・0」のリーダーを務める草野義和上席副院長(54)は、「今回算出された時間の効率化は、医療者が本来向き合うべき患者との時間を取り戻す取り組みの成果。医療の質と生産性の両立を図るモデルを示すことができた」と話す。


 同病院では、2023年5月から同チームを中心に生成AIを病院業務に活用していく取り組みを本格化。プライベートクラウド上に生成AIエンジンを構築し、電子カルテデータとの連携基盤を整備した。


 同病院の職員数は3月1日現在で957人。このうち医師は約130人。看護師は約450人で全体の半数近くを占める。初めに手をつけたのは「看護情報の一括収集」。以前、看護師は、受け持つ入院患者の経過の確認をするため、勤務開始の数十分から1時間前に出勤。これが「サービス残業」のかたちで常態化していた。「何とかしてほしい」という現場の声を受け、生成AIを使って必要情報を一覧化・要約することで、入院患者1人につき約10分かかっていた確認時間を大幅に短縮することができた。



 医師の場合、外来や患者説明の内容を文字起こしし、病院の定形書式に沿った記録へまとめる機能を活用することで、診療後の記録作業はほぼゼロ、もしくは数分で済む場面も増えたという。


 利用する職員の口コミが広がった昨年秋からは、さまざまな職種の現場から生成AI活用メニューのリクエストが急増。今では用途に応じたAIアシスタントは50種類以上にのぼる。


 実証は、2025年4月から26年1月までに生成AIを積極利用した職員111人を対象に調査を行い、年間の業務削減時間を算出した。アンケートでは、99%が効率向上または診察の質の向上を実感したと答えた。病院によると、昨年4月から今年2月まで患者数が約3%増える一方、時間外勤務は約10%減ったといい、生成AI活用の大きな成果と見ている。


 チームメンバーで情報システム室の高野与志哉システムマネジャーは「生成AIを使っても実際には1回に何分という単位でしか短縮できない。それを病院全体で効果的に発揮していくには多くの人に多く使ってもらうことが必要」と指摘する。草野上席副院長は「この1年間『AIホスピタル』を目指してやってきたが、26年度は真のそれになることが目標。患者さんへのサービス向上と職員の満足度向上につなげたい」と力を込めた。


記事・写真 中村英美


2026年4月11日号フロント

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