59 ピグマリオン効果 期待されると成績が向上

人は周囲からの見られ方や働きかけに対して、敏感に反応するものです。

 その例として連載55回で「ラベリング効果」を紹介しました。

 これは人が、自分の態度や性格に関して、周囲から貼られたレッテルに合わせて行動する傾向です。「女の子らしい」とラベリングされるとおしとやかな振る舞いを、「男の子らしい」とラベリングされると活発でやんちゃな行動をするというのが典型例です。では、もし単にレッテルを貼られるだけでなく、さらに他人から期待をかけられたら、どんな成果を生むと思いますか。

 人は期待されると、大きく変わっていくものです。この傾向は「ピグマリオン効果」と呼ばれています。他者からの期待を受け、その期待を実現するよう促されることで、学習や作業などで成果を出す効果です。

 ギリシア神話に登場する人物「ピグマリオン」が恋焦がれた女性の彫像に強い愛情を込めた結果、彫像に生命が宿ったという話があります。ここから「ピグマリオン効果」と名付けられました。またこの効果を実験で証明した米国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールの名前から「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。

 彼の実験では、教師から期待されていることを意識している生徒は成績が向上することが証明されました。ただ昨今では、むやみやたらに期待をかけ、褒めれば良いわけでなく、期待をどう伝え、どう接するかが重要だという意見もあります。

 接し方の例としては、

 ①期待を言葉で丁寧に伝える

 ②過剰な期待をかけない

 ③能力に応じて達成できる課題を与える

 ④結果をあせらずに見守る

 —などがあります。

 一方「ピグマリオン効果」と逆に、周囲の期待が低いとそれに合わせて学習や作業のパフォーマンスが低下する「ゴーレム効果」と呼ばれる現象もあります。

 このように多面的な人間心理を理解した上で、教えるという行為の責任の重さを改めて考えてみましょう。相手が子どもであれ、職場の部下であれ、正しい期待の抱き方と、接し方が重要なのです。

マーケティングコンサルタント


2021年10月2日号掲載